日銀が経済・物価に関する新指標や推計値を相次いで発表している。日銀幹部は「物価の現状について丁寧に情報発信する狙い」と説明しているが、市場では「追加利上げに踏み切るための環境整備」との見方も出ている。
26日に公開したのは「消費者物価のコア指標」。総務省が毎月公表する「生鮮食品を除く消費者物価指数(CPI)」から、消費税率の変更▽教育無償化政策▽2021年の携帯電話通信料の引き下げ▽旅行支援策▽ガソリンや電気・ガス代などの負担緩和策――の影響を取り除いた数値で、物価上昇(インフレ)の実像がつかみやすくなるとみられる。
この新指標では、今年2月の前年同月比の物価上昇率は2・2%になる。総務省の公表値は1・6%で「約4年ぶりに日銀の物価目標(2%)を下回った」と話題になったが、特殊要因を除けば2%超のインフレが続いていたことになる。
日銀は26日、日本経済の需要と供給力の差を示す「需給ギャップ」を再推計した結果も公表した。22年1〜3月期以降は需要が供給を上回っていたとの内容で、実はインフレ圧力がかかりやすい状態だったことが示された形だ。
27日には経済・物価に対して中立的な「自然利子率」の再推計値を発表。これにより、日銀がどこまで利上げを続けるかの参考値とされる「中立金利」の下限は、従来の1・0%から1・1%に切り上がった。30日には日銀がインフレ動向を判断するうえで重視する「基調的な物価上昇率」の概念について解説するリポートを発表し、「2%に近づいている」との見解を示した。
日銀は25年12月会合で約1年ぶりに利上げに踏み切り、今後も「金融正常化」に向け追加利上げしていく考え。だが、金融緩和を志向する高市早苗政権は利上げに否定的な姿勢を示しており、日銀は利上げの必要性を客観的データを用いながら丁寧に説明していく必要がある。
日銀幹部は一連の発表について「最新の経済データに基づき推計値を更新し、物価について分かりやすく解説する」としているが、市場では「日銀の利上げ路線をサポートするものと言える」(SMBC日興証券の関口直人エコノミスト)との見方も出ている。【古屋敷尚子】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。