
日本郵便が配達員への点呼を適切に実施していなかった問題で、国土交通省は3日、貨物自動車運送事業法に基づき、全国の郵便局約100局に対し、軽バンなどを一定期間、使用停止とする行政処分案を通知した。対象の郵便局で、記録の改ざんや点呼の未実施を確認したという。関係者への取材で判明した。
この問題で日本郵便は、6月に一般貨物自動車の許可を取り消された。拠点間の輸送などに使うトラックなど約2500台を5年間使えなくなり、子会社や同業他社に輸送を委託している。宅配便や郵便物の配達に使う軽バンなど軽貨物車は全国で約3万2000台保有しているが、これらも使用を制限されれば、物流への影響はさらに広がる恐れがある。
日本郵便は3日、通知を受領したと発表。「適切な手段を講じ、郵便物や荷物をしっかり届ける」とした。国交省は同社の意見を聞いた上で、10月にも正式に処分する方針だ。
日本郵便は、集配業務を担う全国の郵便局の75%に当たる2391局で点呼業務が不適切だったと発表している。今回の軽バンへの処分は郵便局ごとに科され、国交省はこの日まず、約100局への処分案を通知した。他局にも順次通知する方針で、対象は最終的に約2000局に及ぶ可能性がある。
関係者によると、今回の軽バンなどの使用停止処分は、最大で「160日車」となる見込み。「日車」とは停止日数と対象車両数を掛け合わせた単位で、「160日車」だと停止車両5台で32日ずつ、10台で16日ずつの使用停止となる。
法令では、処分台数の上限は、各営業所に所属する台数の5割以下と定められており、処分対象の郵便局でも、少なくとも半数の車は動かせる。
同社は、主に郵便配達で使うバイク約8万3000台も保有。バイクの配達員に対する点呼業務でも不正の横行が確認されている。ただ、バイクは貨物自動車運送事業法の対象外のため、国交省の処分は科されない。【木村敦彦】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。