
フジ・メディア・ホールディングス(HD)傘下のフジテレビジョンは8日、10月以降の新番組コンテンツなどについて説明する発表会を開き、番組コンテンツ制作を重視する姿勢を鮮明にした。元タレントと元従業員女性との間での人権問題をきっかけに、7月に編成やバラエティーの部門を解体・再編して以降初めての番組発表会となる。
会の冒頭で、コンテンツ投資戦略局の藤井修局長は「一連の不祥事で大変なご迷惑、ご心配をおかけしていることを心よりおわびします」と謝罪した。広告出稿は回復傾向にあるとし、「現場では前向きに捉えている」と述べた。
同社は「楽しくなければテレビじゃない」というスローガンに過度に重きを置く風土が社内の一部に根付いていたとし、風土形成の温床となったとみる編成局とバラエティ制作局を解体し、7月に編成の機能は「コンテンツ投資戦略局」へ、制作部門は「スタジオ戦略本部」に集約した。
アナウンスの部門を編成・制作部門から独立させ、新たに「アナウンス局」として社長直下のコーポレート本部内に置いた。発表会の名称も今回から「改編記者発表会」から「コンテンツラインナップ発表会」に改めた。

発表会では制作現場でのハラスメントの防止策についての説明もあった。仕事の仲間を尊重し合う環境づくりの講習「リスペクトトレーニング」や、台本へ相談窓口にリンクするQRコードを掲載するといった取り組みを進めているとした。アナウンス局では、アナウンサーの若手を中心に面談してキャリアプランを考えるなど、安心できる環境づくりに取り組んでいるともした。
フジテレビは発表会で「『コンテンツカンパニー』への進化を目指す」とし、多方面向けの番組コンテンツ制作を重視する方向にシフトする姿勢を強調した。国内外の企業との連携を強め、地上波だけでなく配信や映画など様々なメディアにコンテンツを提供する。
実写では、脚本家の三谷幸喜氏が手掛けたテレビドラマを配信世界大手の米ネットフリックスで配信する。韓国の制作スタジオとの協業でドラマのリメーク作品を、米アマゾン・ドット・コムの「プライム・ビデオ」で展開。フジテレビの大ヒットドラマ「101回目のプロポーズ」の続編を制作し自社のネット配信などでの展開を決めたことも明らかにした。
フジ・メディアHDは5月中旬、新しい中長期の経営計画を打ち出した。知的財産(IP)コンテンツや配信事業、不動産事業などの成長分野に5年間で2500億円規模の投資を投じ、うち約半分を主力のメディア・コンテンツ事業に充てるとしている。
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