小湊鉄道バスの長南営業所の車庫(8月、千葉県長南町)=同社提供

千葉県内で路線バスを運行する17社が20日、千葉市美浜区の幕張メッセで運転手専門の合同就職説明会を開く。運転手不足は各社共通の課題となっており、減便などで地域の足にも影響が出ている。「履歴書不要」「資格不要」と間口を広げ、県内での就職に興味を持つ人材の掘り起こしを狙う。

説明会は県が主催し、2月、3月に続く3回目。各社がブースを設けて仕事内容や待遇などを説明するほか、現役運転手のトークセッション、シミュレーターを使った運転体験なども行う。参加は無料で、バスの運転に必要な大型二種免許の有無も含めて特に条件はない。

小湊鉄道(市原市)の採用担当者は「『すぐではないが運転が好きなので興味がある』といった人にも気軽に来てもらえる」と期待。前回3月は約30人、前々回の2月も10人以上がブースを訪れ、採用につながったケースもあったという。

京成バス千葉イーストのバス(6月、千葉市緑区)=同社提供

京成電鉄グループは4月、採用力強化を目的の一つとして県内のバス会社14社を地域別の3社に再編した。県中央部から東部を管轄する京成バス千葉イーストの宮本貴史社長は「それぞれで採用活動はやっているが、合同で開催することでより多くの人の興味を引き付けられる」と話す。

県が24年4月に路線バスやコミュニティーバスの事業者に調査したところ、23年10月以降の減便は便数全体の約6%、約1900便に及んだ。約8割が、残業規制強化にともなう「2024年問題」による運転手不足を理由に挙げた。

バスの運転手は全国的に奪い合いとなっており、経営状況の厳しい事業者にとっては求人広告などのコストも重い。「今後も合同説明会を続けてほしい」との声があり、県は25年度中にもう1回開催する方針という。

県は、県外から運転手を採用した際の支援金、シャワー室や更衣室などの施設整備などを補助する制度も設けている。交通計画課の担当者は「地域に欠かせない路線バスを維持するため、事業者が運転手を確保できるよう支援していきたい」としている。

【関連記事】

  • ・「バス担い手不足」9割 県職員や建設会社、兼業で補う
  • ・商工中金がバス会社間の運転手融通支援 人手不足解消、民営化で新事業
  • ・京成グループ、バス会社を大再編 千葉県内14社を3社に

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。