
【ニューヨーク=西邨紘子】トランプ米政権は9月30日までに、ハーバード大学を政府との取引を禁じる「ブラックリスト」機関に指定する方針を示した。確定すれば今後も政府機関の研究助成金の申請や受け取り、研究委託などができなくなる。
政府のブラックリスト指定は、正式には「デバーメント(関与禁止)」と呼ばれる。米厚生省が29日、ハーバード大に宛てた書簡で手続きを始めたと通告した。政府は既に過去に契約した助成金の支払いを差し止めている。厚生省が関与禁止を正式に認定すれば、今後も助成金を受けられなくなる。
厚生省は理由について、ユダヤ系やイスラエル人の学生への差別、嫌がらせに大学が「故意に無関心な態度」を取っていたと主張。警告を送ったが十分な対策をとらなかったと説明する。
米政府サイトによると、「関与禁止」は通常、詐欺や不正行為などで政府の取引先として不適切と判断された請負業者が対象となる。大学が指定されるのは異例だ。
関与禁止措置の理由について、ハーバード大は通告を受けてから20日間以内に聴聞を求めることができる。ただ、厚生省の行政判事が判断するため、ハーバード側の主張が認められるかは不透明だ。
助成金の支払い再開など米政権とハーバード大の和解交渉は足元で行き詰まりが伝えられる。今回の通告は交渉を有利に進めるため大学側への圧力を強める狙いもありそうだ。
今回の関与禁止とは別に、トランプ政権は7月、大学資格の認定を担うニューイングランド地域高等教育委員会(NECHE)に対し、ハーバード大が条件を満たしていないと通知する書簡を送り、資格見直しを促した。認定が取り消された場合、同大の学生が連邦政府の提供する学生ローンや返済不要の奨学金の受給資格を失うことになる。
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