
【NQNニューヨーク=田中俊行】2日の米株式市場でダウ工業株30種平均は5日続伸し、前日比78ドル62セント(0.16%)高の4万6519ドル72セントで終えた。連日で最高値を更新した。米連邦準備理事会(FRB)が追加利下げに踏み切るとの観測が引き続き相場の支えとなった。エヌビディアなど人工知能(AI)関連株への買いが指数を押し上げた。
1日に発表された9月のADP全米雇用リポートが米労働市場の弱さを示す結果となるなど、米景気の減速を受けてFRBが追加利下げに動くとの観測が根強い。中長期的には米金利に低下圧力がかかって米株式の相対的な割高感が薄れるとの期待もあり、AI関連株などに買いが続いた。
10月からの新会計年度の歳出をまかなう「つなぎ予算」が成立せず、1日から米連邦政府の一部が閉鎖している。政府閉鎖が短期間で終了すれば米経済や金融資本市場に与える悪影響は限られるとの見方がある。投資家心理が急激に冷え込むリスクは今のところ小さいとみる市場参加者は多く、ハイテク株などへの買いを誘った。
ダウ平均の構成銘柄ではないが、インテルやアプライドマテリアルズ(AMAT)など半導体関連の上昇が目立った。米オープンAIが1日、韓国のサムスン電子やSKハイニックスからAI向け半導体メモリーを調達すると発表した。2日のアジア市場で半導体株に買いが集まり、米市場でも半導体株に買いが優勢だった。
ダウ平均は下げに転じる場面もあった。ベッセント米財務長官は2日の米CNBCの番組で、米政府閉鎖が米国の国内総生産(GDP)を押し下げる可能性に言及した。2日は週間の米新規失業保険申請件数や8月の米製造業受注の発表が見送られるなど、経済指標の公表にも影響が生じている。
市場では「政府閉鎖が長引けば経済に悪影響を与えるおそれがあり、決算発表時に慎重な業績見通しを示す米企業が増えるかもしれない」(Bライリーのアート・ホーガン氏)との声があった。米株式相場が最高値圏にあり、積極的に買いを入れる動きは限られた。
ダウ平均の構成銘柄ではアップルやアマゾン・ドット・コム、セールスフォースが上昇した。キャタピラーやスリーエム、ボーイングも上げた。一方、マイクロソフトやJPモルガン・チェース、メルクは下げた。コカ・コーラやプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)も下落した。
ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は5日続伸し、前日比88.894ポイント(0.39%)高の2万2844.051(速報値)で終え、9月22日以来、約1週間ぶりに最高値を更新した。アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)やブロードコムといった半導体株が上昇した。
一方、テスラは下落した。2日発表した2025年7〜9月期の電気自動車(EV)販売台数は市場予想を上回った。業績回復への期待でこのところ株価が上昇していた後で、利益確定売りが優勢だった。
多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数は5日続伸した。前日比4.15ポイント(0.06%)高の6715.35で終え、連日で最高値をつけた。
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