米国のビザ発給などを管轄する米国務省=ロイター

【ワシントン=芦塚智子】トランプ米政権が、米国のビザ(査証)の発給を拒否できる理由に肥満や糖尿病、心臓疾患などを加えたことが分かった。主な対象は長期か永住目的のビザとみられる。政権当局者は、米国民の利益を最優先し、外国人が米国の納税者への負担になるのを防ぐためと説明している。

米メディアによると、国務省が先週、各国の米大使館や領事館に指示を送った。ビザの審査担当者が申請者の健康状態を考慮に入れるよう求め、発給拒否の理由になり得る疾患として循環器や呼吸器、神経、代謝性の疾患、がん、糖尿病、精神疾患などを挙げた。

肥満も高血圧など他の健康問題につながる可能性があるとして検討対象に含めた。ビザ申請者の家族の健康状態も考慮するとしている。

今回の指示の対象には、観光など短期滞在用のビザは含まれないようだ。米国永住のための移民ビザを取得する際には現在も健康診断の結果やワクチン接種証明などの提出が義務付けられているが、審査がさらに厳しくなると可能性がある。

国務省のピゴット副報道官は声明で報道を認め「トランプ政権が米国民の利益を最優先しているのは秘密ではない。これには米国の移民制度が米納税者の負担にならないことを保証する政策の実行も含まれる」と述べた。

ホワイトハウスのケリー副報道官も「100年にわたり、国務省の政策には納税者に財政負担を与えるビザ申請者を拒否する権限が含まれてきた」と指摘した。

トランプ政権は不法移民の取り締まり強化に加え、ビザ全般の発給審査を厳格化するなど合法的な入国についても規制を強めている。

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