高市早苗首相の台湾有事に関する国会答弁をめぐり、中国外務省は14日、孫衛東外務次官が金杉憲治・駐中国大使を呼び出して「厳正な申し入れと強烈な抗議」を行い、答弁撤回を求めたと発表した。日本側は反論し、中国の在大阪総領事のSNS投稿にも強く抗議。非難の応酬が続いており、先月末の首脳会談で維持された日中関係が大きく後退する可能性がある。

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 抗議は13日付。台湾有事は日本が集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」になり得るとした首相の答弁に対し、孫氏は「中国側が繰り返し申し入れを行ったにもかかわらず、日本側は反省せず、誤った発言の撤回を拒否している」と非難。「14億の中国人民は決してこれを容認しない」と強調した。

 また、台湾問題は「触れてはならないレッドラインだ」とし、「中国統一の大業に干渉しようとすれば、必ず正面から痛撃を加える」と異例の強い表現で反発した。その上で、発言の撤回を重ねて求め、「これ以上誤った道を進めば、一切の責任は日本側が負うことになる」と強く警告した。

 中国国防省も14日、「日本が台湾海峡情勢に武力介入すれば、必ず軍の鉄の壁にぶつかり血を流し、痛ましい代償を払うことになる」との報道官談話を発表した。中国政府で台湾政策を担う国務院台湾事務弁公室の報道官も同日、「日本とその指導者には(台湾問題について)とやかく言う資格は全くない」との談話を出した。

「政府の立場を改めて説明」

 一方、木原稔官房長官は同日の会見で、日本側からは「政府の立場を改めて説明し、反論した」と強調した。その上で、中国の薛剣在大阪総領事の「汚い首は斬ってやるしかない」というSNS投稿を「極めて不適切」だとして強く抗議し、中国側に「適切な対応」を求めたとした。

 与党内からは、薛氏を「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」として国外退去を求める声が強まっている。自民党の外交部会などは11日、中国側による「適切な対応」がなされない場合、「(薛氏への)ペルソナ・ノン・グラータも含めた、しかるべき毅然(きぜん)とした対応を強く求める」とした非難決議を採択し、政府側に申し入れた。

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