
【ワシントン=八十島綾平】トランプ米政権が検討している半導体関税について、ロイター通信は19日、中国との関係悪化を避けるため米政府が導入を遅らせる可能性があると報じた。トランプ政権側は報道を否定している。
ロイター通信は複数の関係者の話として、トランプ政権側がここ数日で、半導体関税がすぐに発動しない可能性があると関連企業などに伝えたと報じた。
発動を当面見合わせる理由は、米中首脳間で合意した2026年4月のトランプ米大統領による訪中まで中国側を刺激しないようにするためだという。
米ホワイトハウスのクシュ・デサイ報道官は日本経済新聞の取材に「政権は国家安全保障と経済安全保障に不可欠な製造業の国内回帰に向け、あらゆる権限を駆使する方針を堅持している」と回答し、報道を否定した。
トランプ氏は8月に「米国に輸入されるすべての半導体におよそ100%の関税をかける」と発言した。米国内に工場をつくる企業には負担軽減措置を設ける考えも示したが、負担軽減の具体的な制度設計に時間がかかっているとの見方もある。
米商務省は4月1日、通商拡大法232条に基づき半導体関税発動を視野に入れた調査を始めた。同法に基づく調査期間は270日で、12月末に米商務長官が大統領に調査結果を報告する見通しだった。
トランプ氏が半導体関税の発動を決断するまでには、さらに最大90日の猶予期間もある。米中首脳会談の直前までは、半導体関税の発動方針を曖昧なままにしても法律上は問題ない。
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