欧州連合(EU)の行政を担う欧州委員会は5日、米グーグルに対し、EU競争法(独占禁止法)違反の疑いで29億5千万ユーロ(約5090億円)の制裁金を科すと発表した。自社のオンライン広告サービス事業を優遇し、競合する他社や広告主に不利益を与えたとした。
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欧州委は、グーグルがオンラインのウェブサイトや動画に広告が表示されるシステムや、広告主と制作者の仲介などデジタル広告全般に影響力を持っていると指摘。少なくとも2014年以降、同社がその支配的な地位を乱用し、自社の広告サービス部門に競合他社の最高入札額を事前に知らせ、落札しやすくするなど優遇していたとした。
欧州委は同日、制裁金に加えてグーグルに自社優遇と利益相反の解消を命じており、同社は60日以内にその方法について欧州委に報告しなければならない。
欧州委は23年、グーグル側に対し、競争法に違反している疑いがあり、オンライン広告サービス事業を切り離す措置をとるべきだとする予備的見解を通知。同社の今後の対策を受けて、評価をするとしている。
トランプ米大統領は8月、自国のIT企業を標的にデジタル課税を実施している国々に対し、そうした法律を撤廃しなければ、追加関税を課すと警告。欧米メディアは、刺激したくないEUが今回の発表を遅らせたと報じている。
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