
【NQNニューヨーク=戸部実華】5日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、前日比220ドル18セント安の4万5401ドル11セント(速報値)で終えた。5日朝発表の8月の米雇用統計は労働市場が一段と減速していることを示した。米景気悪化への懸念が強まり、主力株に売りが優勢になった。
8月の米雇用統計では非農業部門の雇用者数が前月比2万2000人増えた。ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(7万5000人増)を下回った。7月分は小幅に上方修正された一方、6月は1万4000人増から1万3000人減に引き下げられた。前月比で減少するのは2020年12月以来。8月の失業率は4.3%と、21年10月以来の水準に上昇した。
市場では「労働需要の減速ペースは供給を上回る」(シティグループ)と受け止められた。雇用を巡る不透明感が強まれば、米経済を支える消費も減速するとの懸念につながった。「企業の収益も伸び悩みかねず、米株の割高感が広がるなかで売りを誘った」(ミラー・タバックのマシュー・マリー氏)との声が聞かれた。主要な米株価指数が高値圏で推移するなか、利益を確定する売りが広がりやすかった。
取引開始直後はダウ平均は上昇し、8月28日に付けた最高値(4万5636ドル)を上回る場面があった。市場では米連邦準備理事会(FRB)が9月に0.25%の利下げを決めるとの観測が根強いなか、利下げ幅を0.5%にするとの見方も一部で浮上した。連続利下げで年末までに0.75%下げる可能性も意識され、株買いを支える面があった。
ダウ平均の構成銘柄ではエヌビディアやマイクロソフトが売られた。JPモルガン・チェースやビザ、シェブロン、ナイキの下げも目立った。一方、シャーウィン・ウィリアムズやセールスフォース、ユナイテッドヘルス・グループは上昇した。
ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は3日ぶりに反落し、前日比7.306ポイント安の2万1700.388(速報値)で終えた。
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