【NQNニューヨーク=戸部実華】10日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反落し、前日比220ドル42セント安の4万5490ドル92セント(速報値)で終えた。11日発表の8月の米消費者物価指数(CPI)を見極めたい雰囲気が強いなか、前日に主要株価指数がそろって過去最高値を付けた後で主力株に利益確定の売りが優勢になった。

朝方発表の8月の米卸売物価指数(PPI)は前月比0.1%下落し、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(0.3%上昇)を下回った。ただ、市場では16〜17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.5%利下げの観測を強める内容ではないと受け止められた。すでに0.25%の利下げがほぼ確実視されており、PPIを材料とした売買は限られた。8月のCPIが11日に発表される前に目先の利益を確定する売りが出やすかった。

ダウ平均の構成銘柄ではないが、オラクルが急伸した。9日夕に発表した四半期決算で受注残が急増し、人工知能(AI)向けクラウドサービスの需要が強いとの評価が広がった。半導体などAI関連株に買いが波及し、ブロードコムやコアウィーブなどが大幅に上昇した。ダウ平均ではエヌビディアへの買いが目立った。

市場では「景気を巡る不透明感が根強いなか、AI関連以外の銘柄を売ってAI関連の一角に買いが集中しやすかった」(ベンセニョア・インベストメント・ストラテジーズのリック・ベンセニョア氏)との見方もあった。

このほかのダウ平均の構成銘柄では、アマゾン・ドット・コムやアップル、マクドナルドなど消費関連株が下げた。セールスフォースやIBMも安い。シャーウィン・ウィリアムズやボーイングも売られた。一方、シェブロンやキャタピラーは上昇した。 

ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は3日続伸し、前日比6.571ポイント高の2万1886.060(速報値)で終え、連日で最高値を更新した。多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数は3日続伸し、連日の最高値となった。

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