広島、岡山の両県を結び、一部区間の存廃が議論されているJR芸備線を歌で応援しようと、鉄道ファンで俳優の六角精児さんが23日、沿線の広島県庄原市でライブを開いた。開催費用を募るクラウドファンディング(CF)に応じるなどして集まった約250人の聴衆を前に、六角さんは「芸備線を守って下さい」と語りかけ、ローカル線にまつわる曲などを披露した。
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六角さんは「呑(の)み鉄」がテーマのNHKの鉄道紀行番組に出演しており、全国のローカル線に詳しい。2023年には沿線出身者らでつくる「芸備線魅力創造プロジェクト」主催のシンポジウムに参加するなど、芸備線を応援してきた。
今回は、「六角精児バンド」を率いて音楽活動にも力を注ぐ六角さんにライブをしてもらい、芸備線を元気づけてもらおうと、同プロジェクトが企画。存廃が議論されている備後庄原(庄原市)―備中神代(岡山県新見市)間にある、備後西城駅から徒歩数分のホールを開催場所に選んだ。
この日、ライブを控えた六角さんはバンドメンバーと備後西城駅に向かい、午前11時35分に到着した広島発の芸備線快速「庄原ライナー」から降りた参加者らを笑顔で出迎えた。
ライブ前には報道陣の取材に「芸備線の将来は地域の人たちが決めることだと思うが、まず乗ったことのない人は一度乗ってみてほしい」と話した。
ライブは、鉄道をテーマにした六角さんのトークと演奏の二部構成。トークでは「鉄道でなければ風景や町のにおいが伝わってこない。沿線の人が乗って、芸備線という血管に血液を通してあげてほしい」と呼びかけた。
その後、六角さんがボーカルとギターを務めるバンドが約1時間で10曲を演奏。オリジナル曲を中心に昭和歌謡のカバーなども交え、歌声を響かせた。
お酒などにまつわる軽妙な歌に、トークを挟みながらライブは進み、終盤にはNHKの番組でも親しまれている鉄道にちなんだ名曲「ディーゼル」を披露した。
時間調整で降りたった小さな駅のホームで背伸びをする描写など、ローカル線への愛が詰まった歌詞を歌い上げると、会場の熱気は最高潮に達した。
「また来ますので、それまで芸備線を守ってください」。六角さんの呼びかけに、観客は大きな声援で応えていた。
今回、ライブ参加やリモート視聴の権利などをつけたCFで開催資金を募ったところ、目標の250万円を上回る320万円以上が集まったという。
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