美術展「Ahead of the Rediscovery Stream」のアーティスティック・ディレクターを務めた俳優の森山未來さん。「人を元気づけたり、ポジティブにして豊かにさせたりする力を外に出していけるような展覧会にしたい」と意気込む

10日から東京・天王洲一帯で始まるアートフェスティバル「MEET YOUR ART FESTIVAL 2025」。そこで開かれる美術展「Ahead of the Rediscovery Stream」のアーティスティック・ディレクターを俳優の森山未來さんが務めた。「欧米の美術のコンテキスト(文脈)を踏まえつつ、日本あるいは東洋の文化や美術をしっかり捉え直したい」と語る。

同展は吉田山さんと渡邊賢太郎さんがキュレーターを担う。特別ユニットとしてコラボレーション作品を発表する「Chim↑Pom from Smappa!Group×小室哲哉」や、香りをテーマに創作する和泉侃(かん)さん、現代美術家で2月に他界した折元立身(たつみ)さんら7組の作品を展示する。

森山さんはかつてイスラエルに1年ほど滞在したときに日本の文化とは何か考えるようになったという。帰国して編集者・著述家の松岡正剛さんの本に出合い、松岡さんらが立ち上げた近江から日本のスタイルを模索するプロジェクト「近江ARS」に関わるようになった。

「残念ながら正剛さんは亡くなってしまったが、彼がよく語っていた『ARS』という考え方に影響を受けた。展覧会の頭文字もつなげると『ARS』になっている」と森山さん。「私たちも無自覚かもしれないが、昔から続いてきた日本の文化や価値観とつながっていて、それが作品に転じているかもしれない。もちろんアーティストそれぞれに個性はあると思うが、文化的背景との関わりを見ながら、その続きを、これからも考えていきたい」と話す。

とはいえ「MEET YOUR ART FESTIVALはアートフェアもあれば、ライブを楽しむこともでき、飲食店もある。アートや作品、企画展を見に来たくて来る人もいるし、たまたま通り過ぎていく人もいる。そこでばったり出合うような間口がこのイベントにはある」。シンプルに現代アートが持つ「人を元気づけたり、ポジティブにして豊かにさせたりする力を外に出していけるような展覧会にしたい」と意気込んでいた。

(岩本文枝、平野麻理子)

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