
藤田医科大の木須伊織教授は10日、第三者の子宮を移植する「子宮移植」に関する意識調査の結果を名古屋市で開催中の日本移植学会総会で発表した。国内の女性に意見を聞いたところ32.8%が「賛成」と回答し、「反対」の17.5%を上回った。子宮移植手術は海外で先行している。日本では実施例がなく、倫理的な問題など社会的に議論が必要とされる。
子宮移植は生まれつき子宮がない先天性の病気の女性に、母や姉妹などの親族の子宮を提供してもらい、妊娠・出産につなげる技術だ。藤田医科大の木須伊織教授らは2025年3月、国内の25〜39歳の女性を対象にインターネット経由で子宮移植の是非についての意識調査を実施し、約3000人から回答を得た。

結果を分析したところ、子宮移植の実施について「大いに賛成・賛成」と答えた割合は32.8%で、「反対・絶対反対」(17.5%)を上回った。「どちらとも言えない」と答えた割合は49.7%だった。倫理的に社会に許容されるか聞いたところ、15.9%が「許容される」、68.1%が「議論を続ければ許容される可能性がある」と答えた。
今回の結果について研究チームは「子宮移植は国内でも一定の社会的・個人的な支持を得ている」と分析する。海外ではこれまで150例以上の子宮移植が実施され、60人以上の赤ちゃんが生まれたという。
ただ、子宮移植は、子宮を提供する女性の身体的な負担や移植にともなう感染症などのリスクが指摘される。「命を救う」ための医療技術ではないが、手術にともなうリスクが高いため、社会的な理解を深めることが重要となる。
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