@melindaajg/TikTok

<息子が1歳の誕生日を迎えたころから「何かがおかしい」と感じ始めた母親。「親の直感を信じてほしい」というメッセージを伝えるため、動画を公開した>

あるイギリス人の母親が、息子の様子がおかしいと感じ始めたのは、彼の1歳の誕生日のころだった。彼女は多くの病院を回り、何度も「問題なし」と診断されながらも諦めず、最終的に男の子は「脳腫瘍」と診断された。彼女はなぜ息子の病気に気付けたのか──。当時の息子の様子を映した動画を公開した彼女に話を聞いた。

■【動画】幼い息子の様子に違和感...診断は「異常なし」も、なぜ母親は「脳腫瘍」に気付けたか? 動画を公開

動画を公開したのは、メリンダ・ギャラット(@melindaajg)という女性。1歳の息子フィンリーが自宅で遊んだり、ベビーカーに乗ったりしている様子をTikTokに投稿した。動画に重ねたテキストにはこう書かれている。「どうして息子の脳腫瘍に気付けたのかと聞かれることがある」「でも、この頃の私は何も分かっていなかった」

メリンダとパートナーのマーク・ロブソンは最初、フィンリーは胃の調子が悪いのだと思っていた。しかし1歳の誕生日を過ぎた頃から、メリンダは何かがおかしいと感じ始めた。

「その日、息子は具合が悪そうで、いつもより多く服を着替えさせなければならなかった」とメリンダは本誌に語った。「翌日には何を食べても吐くようになって、数日後には......毎朝、気持ちが悪くなることで目を覚ますようになった」

彼女とマークは救急外来を3回受診し、発作があったときには救急に通報もした。12人もの医師に診察してもらったが、どの診察でも「ウイルスかもしれない」「便秘か牛乳アレルギーの可能性」といった説明で終わった。

子供が吐いたものの中に血が混じるように

しかし嘔吐は収まらず、フィンリーが吐いたものの中に血が混じるようになると、メリンダのなかで医師たちの言葉よりも自分の直感を信じる気持ちが強くなった。「何としてでもはっきりした原因を突き止めなければと思った」とメリンダは言う。「最初の病院では『ただの鼻血だろう』と言われたが、納得できずに別の病院に行った」

そのセカンドオピニオンが、事態を一変させた。数時間後にCT検査が行われ、脳に3センチの腫瘍が見つかったのだ。その24時間後には、フィンリーは緊急手術を受けることになった。

後に判明した腫瘍は「非定型奇形腫様ラブドイド腫瘍(ATRT)」というまれな小児脳腫瘍で、米セントジュード小児研究病院によれば年間に診断される子供は100人未満。多くは3歳未満の幼児であり、悪性度の高い脳腫瘍だという。

診断を受けたその日は、メリンダにとって決して忘れられない日になった。鎮静剤を使ってCT検査を受けた後、医療スタッフが「スキャン画像がぼやけて見える」としてMRI検査を勧めた。その後、医師が家族を個室に呼び、フィンリーを抱いたメリンダに「腫瘍が見つかった」と説明したのだった。

「私はフィンリーの顔ばかり見ていた。『これはうちの子の話じゃない、何かの間違いだ』と思ってた」とメリンダは語る。「まるで他人の話を聞いているみたいだった」

フィンリーの手術は朝8時に始まり、終わったのは12時間近く経ってからだった。数日間は「腫瘍を摘出した」という情報しか知らされておらず、2週間後にようやく正式な診断が下された。それがATRTだった。

これから高用量化学療法の段階に進む

「『この子は助かるんですか? 大丈夫なんですか?』と聞いた」「でも誰も答えられなかった。本当につらかった。赤ちゃんが生きられるかどうか、分からないということだったから」

現在フィンリーは、3サイクルずつの化学療法を2回受け、さらに高用量化学療法に備えて幹細胞採取も行った。現在は血液検査の値が回復するのを待つ休息期間に入っている。「もうすぐ歩けるようになりそう。とても楽しそうにしている」と、メリンダは話す。

ただ、次の段階である高用量化学療法は、これまで以上に過酷なものになる。滅菌された隔離病室で1日3回の全身洗浄、2時間ときのおむつ交換、1日に複数回の包帯の交換が必要となる。1サイクルは28日間。「遅れが出ないことを願ってる。クリスマスには家に帰れたら」とメリンダは話す。

今回の経験からメリンダは、「親の直感」がいかに重要かを痛感したという。彼女が他の親たちに伝えたいのは、「自分の直感を信じて」ということだ。「自分の子供のことなのだから、何かがおかしいときは絶対に分かる」と彼女は話す。今でも唯一後悔しているのは、「もっと早く別の病院で診てもらわなかったこと」だという。

「もし自分の話を聞いてもらえていないと感じたら、第2、第3、第4の意見を求めてほしい」「誰かはきっと耳を傾けてくれる。子供が自分で戦えないときは、親が一緒に戦うしかない」

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。