夢洲から

 大阪・関西万博で、シニアのeスポーツ大会があった。ゲームを通じて、高齢化社会の課題解決を目指すイベントだという。「ゲーマー」と「高齢者」が結びつかず、のぞいてみた。

 国際高齢者デーだった10月1日。沸き立つ観客を前に、杖をついたり車いすに乗ったりした選手たちが登場した。

 全国の介護施設や老人クラブなどから6チーム22人が出場。最年少は65歳、最高齢は94歳で、平均年齢は80歳近い。

 プレーするのは、「ジェローグ」という対戦ゲーム。ソフトウェアのバグ(不具合)などをチェックする企業、デジタルハーツホールディングス(東京)が中心となって複数のIT企業で開発した。

 3人1組のチームで協力してロボットを合体し、相手チームの拠点を攻撃して壊せば勝利となる。簡単な操作でプレーできるのが特徴だ。

 同社の筑紫敏矢社長(60)は「操作は簡単に、でも声かけが必要なゲームにしたのは、会話してほしいから。eスポーツだから若い人たちとも一緒に遊べる。ゲームを通じて、高齢者が生き生きと元気になってほしい」と話す。

 大阪府吹田市の介護施設で暮らす石田秀子さん(85)は同じグループの施設の仲間2人と出場。「おしゃべりしたことなかった人とも、ゲームの練習でお話しできた。パソコンもやったことなかったけど、やってみると面白いもんですね」と笑う。

 試合中、選手たちがボタンを連打して戦う姿に、来場者からは「がんばれ」と大歓声。白熱した戦いに私も思わず引き込まれ、勝敗が決まると大きな拍手をしていた。

 新しいことに挑戦するのに年齢は関係ない。20代の私も負けていられない、と人生の大先輩たちの雄姿を見て思った。

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