
Vitaly Gariev-Unsplash
<現代社会で最も過小評価されている資質のひとつ──EQの高い人々とそうでない人の違いとは?>
現代社会に上手に溶け込むことと、自分らしく生きることは、ときに相反する。社会に求められることと自分の感情にうまく折り合いをつけるには、どうすればいいのだろうか。
これまでに40以上の言語に翻訳されたベストセラー『成長し続ける人だけが知っている101の人生戦略』(かんき出版)には、自分らしく生きる「心の知能指数が高い人」の25の特徴がまとめられている。彼らがすること、しないこととは?
※本記事では、ブリアンナ・ウィーストによる同著の内容を一部再編集して紹介する。
◇ ◇ ◇EQが高い人は、自分らしい人生を生きている
心の知能指数(EQ)の高さは、おそらく現代社会でもっともパワフルでありながら、もっとも過小評価されている資質だろう。私たちは、合理性と理論が絶対だと信じているが、実際のところ、じっくりと考えて出した結論と、一瞬の直感で出した結論が同じということもよくある。
政治リーダーたちのほとんどは、社会政治的な問題の人間的な要素を見落としている。また離婚率の高さを見れば、私たちの親密な人間関係を長続きさせる能力が低いことが明らかだ。
どうやら人々は、感情を持たないのがもっとも知的だと信じているようだ。機械のようになるのがいちばん効果的だという考えは、まさに時代の産物だといえるだろう。
油を十分にさしてなめらかに動く機械が、ただ消費社会の利益のために働く。デジタル時代に高度に適応し、意識は低いが能率は高いロボットだ。そんな時代だからこそ、私たちはこうやって苦しんでいる。
EQの高い人は、自分の経験を表現し、処理し、解体し、調整する方法を知っている。なぜなら、自分自身がコントロールの中心にあるからだ。彼らこそ真のリーダーであり、もっとも完全で自分らしい人生を生きている。次からは、EQの高い人たちの特徴を見ていこう。
EQの高い人がしている10のこと
01/ある状況に対する自分の考えや感情は、現実とは違うかもしれないということを知っている。
自分の感情はある出来事に対するひとつの反応であり、出来事を正確に評価した結果ではないと認識している。その反応は、目の前の状況の客観的に見た結果ではなく、自分自身の問題と関連があるかもしれないということを認めている。
02/感情の起点を自分の外側に置かない。
彼らの感情は「他の誰かの行動」の結果ではない。そのため、「他の誰かが解決しなければならない問題」でもない。自分の感情に責任があるのは自分だけだと理解しているために、受け身的になって腹を立てるということがない。
それが理解できない人は、すべて宇宙が悪いのであり、宇宙に問題を解決する責任があると考える。
03/自分を幸せにしてくれるものなんてわからない。
いついかなるときであっても、私たちが評価の基準として参照できるのは過去に起こったことだけだ。そのため、自分を本当の意味で幸せにしてくれるものを知る手段は存在しない。私たちにわかるのは、過去の経験から自分が「救われた」ということだけだ。
EQの高い人はこれを理解しているので、人生で起こるあらゆる経験に対して心を開いている。どんなことにもいい面と悪い面があると知っているからだ。
04/恐怖を感じるのは間違った方向に進んでいるからだとは考えない。
間違った方向に進んでいることを知るサインは「無関心」だ。恐怖を感じるのは、何か愛するものに向かって進んでいるが、昔の思い込みや、癒されていない過去の経験が障害になっている(あるいは、癒さなければならない過去の経験が呼び覚まされている)からだ。
05/幸せは選択の結果であると知っているが、いつでも幸せになる選択をしなければならないとは思っていない。
「幸せ」とはつねに喜びを感じている状態だという幻想を信じていない。自分が経験するすべてのことを、自分のなかで処理するための時間を自分に与えている。彼らはいつでも自然な自分として存在する。この、何ものにも抵抗しないという状態のなかで、彼らは満足を感じている。
06/自分の思考を自分以外のものに選ばせない。
EQの高い人は、社会の影響や、雑念を払うことのできない人間の本質によって、しばしば自分のものではない思考や思い込み、態度に流されてしまうことがあると自覚している。
これと闘うために、自分の思考や思い込みの在庫を確認し、それぞれの発生源はどこか考える。そのうえで、その思考や思い込みが本当に自分のためになっているか判断する。
07/EQの高さとは、いついかなるときも冷静沈着でいることではないと知っている。
彼らは感情を抑制しない。感情を打ち消そうとしない。ただ、感情をコントロールする力があるだけだ。彼らが感情を表に出すのは、それをしてもかまわない環境にいるときだけだ。感情を押し殺すのではなく、適切にコントロールしている。
08/感情は自分を殺さないということを知っている。
彼らは十分な心の強さを身につけているので、すべては過ぎ去るということを知っている。たとえ最悪の出来事であっても、永遠には続かない。
09/誰とでも親しい友人になるわけではない。
真の信頼と親密さは努力して築いていくものだということを知っていて、それを共有する相手には注意している。とはいえ、ガードを固めて誰も信頼しないというわけではない。
ただ、人生を共有し、心を開く相手を慎重に選んでいるだけだ。彼らはどんな人にも親切だが、心を開く相手はごくわずかだ。
10/「悪い感情」と「悪い人生」を混同しない。
EQの高い人は「外挿」に気づき、その罠にはまらないように気をつけている。外挿とは、既知の事実に基づいて、その事実の範囲外にある物事を推定することだ。
外挿の罠にはまると、今この瞬間が自分の全人生を決めてしまうかのように思い込む。実際のところ、目の前の瞬間もまた、いずれ過ぎ去っていく全体の一部にすぎない。
EQの高い人は、「悪い日」を許容できる。自分が人間であることを完全に受け入れている。こうやって何ものにも抵抗しない姿勢のなかに、彼らはもっとも大きな心の安らぎを見いだしている。
EQの高い人がしない15のこと
01/自分の感情すべてに意味があるとは思っていない。
自分が感じることすべてに何らかの価値があるとは考えない。自分がそう思うからといって、それが本当だとはかぎらないということを知っている。
02/自分が正しくないことを恐れない。
誤解や思い違いをしたからといって、自分の人間としての価値が下がるわけではないと理解している。
03/感情を否定するために理論を使わない。
感情をただありのままに認める。誰かに向かって「そんなふうに感じるのは間違っている」と言わない。
04/目に映るものすべてに意味を与えない。
特に大きな特徴は、見るもの、聞くものすべてが自分に関係があるとは考えないことだ。彼らは自分を他人と比べない。それはただ単に、他人は自分の比較対象として存在するという考え方は、どんなに悪気がなくても思慮が足りない態度であり、最悪の場合は利己的であるからだ。
05/自分の力を証明する必要がない。
完全無欠の自分という肥大化したエゴを体現するのではなく、彼らの態度はあくまで自然体だ。これがまさに本物の自信を持つ人の特徴だ。
06/痛みを避けない。たとえ痛みに恐怖を感じていても。
古い習慣を断ち切るためなら不快感を受け入れる。人間関係に問題があるなら、目を背けるのではなく、問題の根源を探る。不快感の原因は痛みを避けることであり、痛みそのものでないということを知っている。
07/他者の長所を否定する目的で、その人の弱点を探らない。
誰かが成功したときに、その人の失敗をあげつらうという反応をしない。
08/不平を言わない(言いすぎない)。
人が不平を言うのは、周りから自分の苦痛を認めてもらいたいからだ。それで問題が解決するわけではないが、少なくともある種の承認は手に入る。
09/ある経験の一面だけを切り取って大げさに騒ぎ立てたりしない。
ちょっとしたことで大騒ぎして、いつも最悪のシナリオを恐れているのは、不測の事態になったときにきちんと対処できる自信がないからだ。そのため最悪の事態へ備えることばかりに気を取られ、その過程にある美しい瞬間を見逃している。
10/他人が「するべきこと」と「してはいけないこと」のリストを持っていない。
EQの高い人は、「正しいこと」も「間違っていること」も主観的な判断でしかないとわかっている。普遍的に正しい行動規範が存在し、すべての人がその規範に従わなければならないと信じている人は、何度も失望を味わうことになると理解している。
11/自分に善悪を判断する資格があるとは思わない。
特に友人に何かアドバイスするときは、自分にとっての理想的な解決策でも、万人がそれを求めているとは考えない。
12/個人的な経験から一般論を導き出さない。
自分が経験できるのは広い世界のごく一部にすぎないということを知っているので、自分の経験から人類全体に当てはまる一般論を導き出したりしない。
13/一緒にいる人によって自分の性格を変えない。
誰でも拒絶されるのは怖い。しかし、ありのままの自分が無条件で受け入れられる体験は誰でもできるわけではない。
14/攻撃的になることなく自己主張ができる。
矛盾しているように感じるかもしれないが、実は攻撃的な態度は不安の裏返しだ。そして落ち着いて自己主張できるのは、人格的な強さと自尊心の表れだ。
15/今の状態がこの先の人生でずっと続くとは思わない。
感情は、それがいい感情でも、悪い感情でも、一時的なものだということをつねに意識している。そのため、ポジティブな感情をより大切にし、ネガティブな感情を簡単に手放すことができる。
『成長し続ける人だけが知っている101の人生戦略』
ブリアンナ・ウィースト[著]
桜田直美[訳]
かんき出版[刊]
(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)
著者
ブリアンナ・ウィースト(Brianna Wiest)
アメリカ出身・在住の著述家・詩人。エリザベスタウン・カレッジで英語の学士号と文学の名誉博士号を取得。大学院卒業後は、ジャーナリストとして、フォーブス誌やUSAトゥデイ紙などで活躍。著作はこれまで40以上の言語に翻訳され、世界で累計数百万部以上売り上げている。邦訳書に『感情戦略』(日経BP)がある。
翻訳者
桜田直美
翻訳家。早稲田大学第一文学部卒。訳書は『THE CULTURE CODE 最強チームをつくる方法』『THE CULTURE PLAYBOOK 最強チームをつくる方法 実践編』(いずれも小社刊)、『スタンフォードの脳神経科学者が証明! 科学がつきとめた「引き寄せの法則」』『アメリカの高校生が学んでいる投資の教科書』(いずれもSBクリエイティブ)など多数。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。