
Alex Corr-Unsplash
<メンタルヘルスの問題だと気が付かず、がんや重金属中毒の検査に大金を費やした。そんな彼女が精神疾患を抱えていることに気づけたきっかけとは>
統合失調症と診断された女性が、「自分が病気だとどうやって気づいたのか」という質問にTikTokで答え、72万回以上再生されている。
【動画】20代で「統合失調症」と診断された女性...「自分は精神病」だと気づいた瞬間をSNSで明かし話題に
マッケンジー・サーモンソンは24歳のとき、自分が慢性的な精神疾患を抱えているとはまったく思っていなかった。この病気は、思考力、感情のコントロール、判断力、他者との関係性に深刻な影響を及ぼす。
米国立精神衛生研究所によると、アメリカの人口の0.25〜0.64%が罹患しているとされている。
家族に精神疾患の既往歴がなかったこともあり、米テキサス州ダラス在住のサーモンソンは、次第に悪化していった自らの被害妄想を「当然の感覚」だと思い込んでいた。
現在26歳の彼女は本誌の取材に対し、当時の混乱した状況をこう語っている。「最初は誰かに監視されていると思っていた。でもそれがだんだんエスカレートして、最終的には脳にチップを埋め込まれていると信じ込むようになった」
8月3日、サーモンソンはTikTokアカウント@blinzo22で、「どうやって統合失調症だと気づいたのか?(実は気づいていなかった)」と題した動画を投稿した。
動画の中で彼女は、自身の体験した精神病の症状について語り、脳にチップが埋め込まれていると信じていたことに触れたうえで、「これがサインだよ」と締めくくっている。
本誌の取材では、こうも話している。「最初の症状が出始めたとき、現実とのつながりが薄れて、自分が現実に存在していないように感じた。そのせいで、自分はすでに死んでいるんだと思い込んでいた」
「その後、被害妄想がひどくなって、あらゆるものが『宇宙からのメッセージ』だと信じるようになった。たとえば高速道路を運転していて、カジノの広告に『大勝利』と書いてあるのを見たら、それが自分に向けられた特別なサインだと思い込んでいた」
次第にサーモンソンは身の回りのことに手が回らなくなり、体重も大幅に減少していった。自分は何らかの身体的な病気にかかっているのではないかと怯えていたが、精神疾患の可能性はまったく考えていなかったという。
その代わりに彼女は、がん、重金属中毒、多発性硬化症などの検査に1万ドル分の保険自己負担額を費やしていた。「考えうる限りの検査を受けた。すごく高額だったし、医師たちには『原因不明の症例』と見なされた」
現在サーモンソンは医療費の借金を抱えており、2023年5月に入院して統合失調症と診断されたことで、さらに請求書が増えることになった。
彼女は、自分を病院へと導き、必要な支援を受けさせてくれたソーシャルワーカーの「天才的なやり方」を称賛している。
「地域の無料リソースを通じて見つけたソーシャルワーカーと電話で話していたんだけど、脳にチップが埋め込まれているって話をしたら、彼女が病院を紹介してくれた」と語っている。
「彼女は『どう対処すればいいかわかってる』と言ってくれて本当に救われた。なぜこんな状態になっているのか知りたくて仕方がなかったから。彼女はうまく私を病院へ行くよう説得して、最後には『電話をトリアージ(初期診療)担当に渡して』と言った」
この一連の出来事について、サーモンソンは別の動画でも詳しく語っており、こちらは220万回以上再生されている。
サーモンソンは本誌に対し、「私は薬を拒否していたから、病院側は裁判所の命令を取って、私の意思に反して投薬を行う必要があった」と語っている。サーモンソンはおよそ50日間入院。その間、自分の診断名について尋ねることはなかったという。
「退院後、精神科医による診察の際に、椅子に座らされて、初めて告げられた。その瞬間、頭が真っ白になって『もう人生終わった』と思った。ホームレスになるかもしれないって本気で怖くなった。でも、現実はまったく違っていた」
現在は実家で暮らしながら、メンタルヘルスに特化した遠隔医療プラットフォームの営業として働いている。また、SNSを通じて精神疾患への理解を広める活動にも力を入れている。
「自分自身を誇りに思ってる。25歳の1年間は症状に苦しんで失ったけど、それと引き換えに大きな気づきと人生経験を得た」とサーモンソンは本誌に語っている。
「学校に戻ることも、キャリアを積むことも全部逃したと思ってたけど、あの経験がなければ持てなかった『他人への共感』を得ることができた」
「ネット上では、『統合失調症には見えない』『嘘なんじゃないか』って言われることもあるけど、私は偏見をなくして理解を広めるために、自分の体験を発信している」
「いまは薬も進化していて、この病気と共に生きていくことができる。私はもう症状が出ていないし、回復の中で普通の生活をしっかり楽しめている」
@blinzo22 How did I know I had schizophrenia? (I did not) #schizophrenic #schizophrenia #schizophreniaadvocate #schizophreniaawareness #schizophreniatok ♬ original sound - Kinzo
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。