東アジアの仏教絵画の至宝とされ、1949(昭和24)年の火災で焼損した法隆寺(奈良県斑鳩町)金堂壁画の限定公開が20日、寺境内の壁画収蔵庫で始まった。31日まで(28日を除く)。
壁画は、7世紀後半~8世紀前半に金堂内の大小の壁に釈迦如来(しゃかにょらい)や薬師如来、観音菩薩(ぼさつ)、飛天(ひてん)などが鮮やかな色彩で描かれ、現存する国内最古の仏教絵画とされる。49年1月、解体修理中の金堂で起きた火災で、取り出されていた飛天図を除き、壁画はほとんどの色彩を失った。その後は収蔵庫で保管されてきた。
限定公開は、壁画の恒久的な一般公開を目指し、朝日新聞社と法隆寺が進める「法隆寺みらいプロジェクト」の一環。収蔵庫の改修に向けた調査研究費用を得るためのクラウドファンディング(CF)で寄付した人が参加できる。
法隆寺の古谷正覚管長は「焼損したとはいえ、オリジナルの壁画からは、描かれた当時の人たちの思いがうかがえます。壁画を見て、文化財の大切さを認識していただけましたら」と話す。
名古屋から訪れた男性(69)は「50年越しで初めて壁画の実物を見ました。白鳳期の唯一全体が残っている貴重な壁画ですが、保存環境に不安も感じました。国の宝なのだから、行政はもっと管理を強めて欲しい」と話した。
CFは現在も募集中で、見学は1口1万2千円。受け付けは朝日新聞社のCF「A―portみらい」(http://t.asahi.com/ap1021)で31日まで。
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