認知症の早期アルツハイマー病の治療薬「レカネマブ」について、投与した専門医へのアンケートの結果を発表する東京大などの研究チーム=東京都千代田区で2025年10月20日午後2時15分、中村好見撮影

 認知症の早期アルツハイマー病の治療薬「レカネマブ」について、治療や検査の運用に課題があるとする専門医へのアンケートの結果を、東京大などの研究チームが20日付の米科学誌で発表した。回答した投与経験のある専門医のうち、約4分の1が「点滴のための外来スペースや人員が逼迫(ひっぱく)している」などと答えた。

 調査はレカネマブの実用化から約1年後の2024年12月~25年1月、認知症診療に関連する専門医を対象に実施。投与経験のある311人の回答を集計した。

 初診から初回点滴までの待機期間は約8割が「3カ月以内」と回答し、初期治療へのアクセスは比較的スムーズであることが示された。6~7割は副作用の発生頻度について「臨床試験よりも低い印象を持っている」とした。

 一方で6割以上が「自施設の治療提供能力は、想定される患者需要に満たない」と答えた。また、初回投与する基幹病院とその後の継続を担う地域の医療機関の連携にも課題が示された。

 研究チームは今後、血液バイオマーカーなどの簡便な検査方法や皮下注射などの新たな投与方法、持続可能な地域医療連携についての議論が深まることを期待するとしている。

 成果は米科学誌「Alzheimer’s & Dementia」に掲載された。【中村好見】

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