公立高校への防犯カメラ設置について説明する柳橋常喜・茨城県教育長=県庁で2025年10月30日午後2時、斉藤瞳撮影

 茨城県教育委員会は30日、教職員による盗撮やわいせつ事案を防ぐため、2029年度末までに全ての県立高校の廊下天井に防犯カメラを設置する方針を明らかにした。県教委によると、都道府県教委が全ての公立高校に防犯カメラを設置するのは全国初とみられる。

 県教委によると、防犯カメラは各階の廊下に1~2台設置され、教室に出入りする様子を監視・記録することで盗撮などの不審な行為を防ぐ狙い。職員室のモニターで常時確認できるようにした上で、動画は2週間程度保存される。教室内が映らない角度で設置し、廊下側の教室の窓にはカーテンを付けるなどしてプライバシーに配慮する。

 対象は県立全94校で、うち7校は不審者の侵入防止のため既に設置されている。25年度は中高一貫校を中心に設置し、今後、県立高校と中等教育学校にも広げていく。

 県内では19年度以降、盗撮やわいせつ事案による公立学校教職員の懲戒処分が計17件に上る。9月には勤務校2校の女子トイレや更衣室で盗撮を繰り返したとして男性教諭が懲戒免職となった。

 柳橋常喜・県教育長は記者会見で「教職員一人一人に対する研修は行っているが、それだけで防止できていない。被害者を一人も出さないために、改善しながら進めたい」と述べた。

 一方、学校現場からは効果を疑問視する声も出ている。ある教職員は「不審な行為をする教員はカメラがあるところを避けるだろう。それより教員の質を上げるためにどうすべきかを考えた方がいい」と話した。【斉藤瞳】

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