国や自治体に卒業アルバム(卒アル)のガイドラインを作ってほしい――。
卒アルといえば子どもたちの思い出の写真を見ながら自由に楽しんでつくるイメージがあるが、多くの小学校がそんな意向を持っていることが民間企業の調査で判明した。
ガイドラインに盛り込んでほしい項目のトップは「学校の作業負担を減らすための基準」で、教員が最も負担に感じる作業は児童の「登場回数のカウント」だった。
ガイドライン策定「賛成」6割
保育園や幼稚園などの行事で写真の撮影から販売までを行うサービス「はいチーズ!フォト」などを展開する「千」(東京都千代田区)が9月11~17日、全国の小学校を対象にウェブアンケートを行い、190校から有効回答を得た。
それによると、国や自治体によるガイドライン策定に「賛成」(38・2%)、「どちらかというと賛成」(23・1%)と答えた小学校は計61・3%に上り、「反対」(3・2%)、「どちらかというと反対」(7・0%)の計10・2%を大きく上回った。
仮にガイドラインを策定する場合に求める項目も複数回答で聞いた。
トップは「学校の作業負担を減らすための基準」(65・1%)で、「個人情報保護対策」(60・8%)▽「アルバム代金の適正価格や費用基準」(60・8%)▽学校、保護者、業者などの「制作作業の役割分担」(59・1%)――などと続いた。
交流サイト(SNS)や生成人工知能(AI)の普及で、写真が無断で公開されたり面白半分に加工・拡散されたりする懸念が強まる中、現場では個人情報保護対策が急務となっている。だが、それよりも学校の作業負担を減らすための基準を求める声のほうが多い結果となった。
業者選定は負担軽減より慣例踏襲
では、具体的にどんな作業に負担を感じているのだろうか。
その点も複数回答で尋ねたところ、最も多かったのは児童の「登場回数のカウント」(70・7%)となり、教員が子どもたちの登場回数が公平になるよう多大な労力や時間をかけている現状が浮かんだ。
2番目以降は「写真の選定・レイアウト」(57・6%)、「入稿前の最終確認」(46・2%)などと続き、「アルバム代金未払い者への対応」といった作業も35・9%が負担を感じていた。
一方、業者選定で重視するのは「前任者・前年度からの継続利用のしやすさ」(53・2%)がトップだった。
「制作にかかる手間や時間の少なさ」は半数の27・0%にとどまり、業者選定では学校の負担軽減より慣例踏襲を重視する傾向がみられた。
この結果からは、「変更の手間やリスクを避けたい」という教員たちの心理がうかがえるという。【稲垣衆史】
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