今年3月に死亡した女優シンディアナ・サンタンジェロ Cindyana Santangelo/Instagram

<『ER緊急救命室』などへの出演で知られる女優シンディアナ・サンタンジェロが、美容整形の施術後に死亡。リビー・アダムという女性が第2級殺人罪に問われていた>

長年にわたり違法な美容整形の施術を行ってきたとされるカリフォルニア州リバーサイド郡のリビー・アダム被告が、女優シンディアナ・サンタンジェロの死をめぐる第2級殺人の罪で有罪判決を受け、懲役15年から終身刑を言い渡された。

■【写真】「豊尻」施術の失敗で、米女優が死亡...「お尻レディ」の異名で知られた無資格の施術者に有罪判決

55歳のアダムは今年3月24日、施術によって生じた塞栓症でサンタンジェロを死亡させたとされているが、無資格で医療行為を行った罪でも有罪となった。検察によれば、施術はサンタンジェロの自宅で行われ、承認されていないシリコンが用いられたという。

アダムはすでに、2024年に別の依頼者が死亡した件に関連して過失致死罪で有罪判決を受けていた。

今回の判決は単に殺人事件の裁判の終結だけでなく、規制の及ばない美容整形の世界における公衆衛生上の深刻な問題を浮き彫りにしたという意味も持つ。SNS主導の(時に過剰な)美容文化が広がるなか、公的機関から警告が繰り返されても違法施術は横行している。

保健当局によれば、無免許業者が自宅やホテルの一室で行うシリコン注入は、米国内で数多くの負傷者や死者を出している。現役の女優であるサンタンジェロが被害者となった今回の事件でも、低価格で体型を変えたいと願う人々の需要の多さと、消費者を守れない制度の脆弱性が改めて注目された形だ。

今回の事件で有罪判決を受けたアダム自身、1年前にも別の顧客の死亡により殺人罪が問われる可能性があると明確に警告されていた。この事件の裁判で裁判官はアダムに対し、同様の施術を繰り返せば患者が死亡した際に殺人罪が適用されると警告していた。

弁護側は「施術を行ったのはアダムではない」と主張

だがアダムは警告を無視し、「バット・レディ(お尻レディ)」の異名でヒップリフトなどの施術を続けていた。検事側は今回の裁判で、アダムはサンタンジェロの死以前から健康被害のリスクを十分に認識していたと主張している。

一方の弁護側は、「施術をしたのはアダムではなかった」と主張。たしかに彼女は「バット・レディ」という名で知られているものの、医師のコンサルタントとして活動していただけで、自らの手で注射をしたわけではないとした。アダムも、サンタンジェロの自宅に到着した時点で既に施術は終わってと証言している。

サンタンジェロの夫フランクによれば、妻はホルモンの影響でできたしこりを目立たなくする程度の軽い尻の施術を希望していただけで、「豊尻」が目的ではなかったと語った。58歳のシンディアナ・サンタンジェロは、テレビドラマ『ER緊急救命室』や『CSI:科学捜査班』シリーズなどに出演していたことで知られる。

米食品医薬品局(FDA)は、シリコン注入は美容目的での使用が承認されていないと繰り返し警告してきた。2017年には、「注入されたシリコンは体内を移動し、塞栓、脳卒中、死亡など深刻な副作用を引き起こす恐れがある」としている。

しかしデータによれば、2002年以降、無許可のシリコン注入に関連して多くの死亡例が全米で報告されており、訓練を受けていない施術者による工業用シリコン使用が原因とされた事件も十数件に上る。

アダムは有罪判決を不服として控訴する意向を示している。


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