果樹盗難の警戒や行方不明者の捜索などのため、山梨県警が毎年採用している「嘱託警察犬」の審査会に、トイプードルなどの小型犬4頭が初めて挑戦した。他県警では小さい体を生かし、小型犬が活躍している例もあり、山梨県警も期待を寄せる。
警察犬は、各都道府県警が飼育する「直轄警察犬」と、審査を通過した犬を警察が委嘱する「嘱託警察犬」がある。これまで山梨県警で審査を受けたのはシェパードなど、日本警察犬協会が定める指定犬種だけで、指定犬種以外の挑戦は初となる。
審査を受けたのは、トイプードル2頭、トイマンチェスターテリア、ビーグル各1頭。7日に北杜市で開かれた審査会では、シェパード、ラブラドールレトリバーなどの大型犬がひしめくなか、飼い主に抱かれて会場入り。人の足跡に残る匂いをたどり、その人の匂いが付着した布を探し当てる「足跡追及」などの実技をこなした。
ビーグル「マルコ」の指導手、甲州市の望月利彦さん(65)は「元は猟犬で持っている能力は高い。大型犬が入れない建物の中にも入れる」と評する。
小型犬がすでに活躍している茨城県では、2016年に嘱託警察犬に採用されたトイプードルの「アンズ」が力を発揮。今年4月にも、自宅からいなくなった日立市の90代男性の発見に貢献したとして警察署長から表彰を受けた。アンズの指導手の鈴木博房さん(75)は「認知症の方の家族には、周囲に行方不明の事実を知られたくない人が多い。制服警官と大型犬が物々しく捜索するのではなく、アンズと私服姿の警官が捜索に当たることで、そうした不安に応えられる」。
山梨県警鑑識課の田口優治次席は「小型犬の特性を生かし、これまでにない活用ができるかもしれない」と期待する。審査結果は12月に発表される。【杉本修作】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。