民泊の開業規制を緩和する「特区民泊」について、大阪市は17日、東京で開かれた国の国家戦略特別区域会議で、民泊事業者からの新規申請の受け付けを来年5月29日で停止すると提案した。年内にも国から正式に認められる見通し。

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 市内で宿泊者による騒音やごみ出しなどをめぐり、近隣住民らの苦情が相次いでおり、市は受け付け停止の方針を発表していた。来年5月30日以降は市内全域で、特区民泊を新たに開業することができなくなる。また、すでに開業している特区民泊の居室を追加したり、広くしたりすることも認められない。横山英幸市長は会議後、「今後、課題解決に向けて(特区民泊の)監視指導体制を強化するとともに必要な制度改正を実現していく」とコメントを出した。

 この日の会議では、大阪府内の寝屋川市と八尾市も同時期に受け付けを停止することを表明。大阪府が所管するほかの29市町村も足並みをそろえた。

 一方、受け付け停止前に申請が認められた特区民泊は今まで通り営業できる。半年後の終了を前に「駆け込み」とみられる申請が窓口に殺到しており、大阪市は手続きの事前予約対応をとりやめている。

 特区民泊は増加するインバウンド(訪日外国人客)の受け皿として導入され、大阪市も2016年から申請の受け付けを開始した。住宅宿泊事業法(民泊新法)では年間の宿泊日数は180日を上限としているが、特区民泊ではそうした上限はない。旅館業法の特例が受けられ、ホテルなどに比べて開業しやすい。そのため大阪市内で急増しており、9月末時点で7068施設あり、全国の9割超が集中している。市が24年度に受け付けた特区民泊に関する苦情は399件で、3年前の4・5倍にのぼっている。

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