真宗大谷派の本山・東本願寺(京都市下京区)の御影堂(ごえいどう)門(国重要文化財)の楼上(ろうじょう)で、「未完の大作」とされる天井画が初めて再現されている。1911年の門の再建に合わせて日本画家・竹内栖鳳(せいほう)が構想したが、完成には至らなかった。11月28日まで特別公開し、プロジェクターで投影している。

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御影堂門の楼上で再現された「飛天舞楽図」=2025年11月21日午前11時30分、京都市下京区、木子慎太郎撮影

 真宗大谷派によると、天井画は「飛天舞楽図(ひてんぶがくず)」。雲の上で舞う天女が描かれている。天女のモデルの女性が制作途中に病気で亡くなったことや、天井材から松やにが浮き出る不具合が重なり、完成しなかった。色のついていない3枚の下絵だけが残っている。

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御影堂門の楼上で再現された「飛天舞楽図」=2025年11月21日午前11時28分、京都市下京区、木子慎太郎撮影

 再現を担ったのは東本願寺の僧侶の藤井真之(まさし)さん(38)。宗祖・親鸞の遺徳をしのぶ報恩講(ほうおんこう)(21~28日)にあわせて試みた。「三つの下絵が合わさった姿を自分自身が見たかった」という。

 ロサンゼルス別院に勤めていたときに身につけた画像編集の技術を生かした。縦約7メートル、横約3メートルの下絵3枚を合成し、プロジェクターで天井に投影した。

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再現作業を担当した僧侶の藤井真之さん=2025年11月21日午前11時32分、京都市下京区、木子慎太郎撮影

 3枚は本来、着色されるはずだったとして、朝・昼・夜の3バージョンを作った。星空や朝焼けなど独自の彩色も施したという。

 楼上には釈迦三尊像がまつられているが、普段は非公開。藤井さんは「東本願寺に関心を持つ人が増えるきっかけになれば」と話す。

 受け付けは午前10時~午後4時(最終日の28日は午後0時半まで)。拝観には寄付金として一般千円、高校生以下500円が必要。

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御影堂門の楼上で再現された「飛天舞楽図」=2025年11月21日午前11時25分、京都市下京区、木子慎太郎撮影

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