教材に掲載される日立駅の写真。ガラス張りの駅舎から空と海を見渡せるようになっている=茨城県日立市提供

 2011年にリニューアルされたJR日立駅(茨城県日立市)が、高校の商業科向け副教材に取り上げられる。26年度から主に「観光ビジネス」の授業で使用されるもので、発行部数は約7000部を予定している。

 日立駅が登場するのは実教出版(本社・東京都千代田区)が発行する「事例探求ワークブック はじめて学ぶ観光ビジネス編」。

 このなかの「何が観光資源になるのだろう?」という章では、人々を観光へいざなうのは決して「もともとあるもの」ではなく、人々の努力や工夫によって「つくられるもの」であると説明。その具体例として、日立市出身の建築家・妹島和世さんが手がけた駅舎リニューアルのエピソードを紹介している。

日立駅の事例を紹介している実教出版の「事例探求ワークブック」=茨城県日立市提供

 学生時代、駅から近くにある海が見えないことを残念に思っていた妹島さんは、「日立の海と空、人々の暮らしをつなぐ場所にしたい」との思いで駅舎をガラス張りにした。完成後は、眺望の良さを求めて多くの観光客が訪れるようになった。

 教材は現在の駅舎写真を添え、「ガラス張りの駅舎そのものが観光資源であり、海と空を堪能できる」と紹介。「皆さんも自分の地域にある、魅力や可能性を秘めた観光資源を発掘してみよう」と呼びかけている。

 市広報戦略課は「教材をきっかけに全国の高校生が日立駅を訪れ、その魅力を体感してもらえたらうれしい。市民にとっても、地域の魅力を改めて見つめ直す機会になれば」と期待を寄せている。【田内隆弘】

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