「分からないことがあったとき、人に聞く前にまずAIに聞く」
小学生を対象にした調査で、約6割がそう回答した。急速に利用が広がっている生成人工知能(AI)が、子どもたちの間でも身近な存在になっている実態が浮き彫りになった。
調査は11月初め、教育大手「ベネッセコーポレーション」が小学3~6年の児童とその保護者の計1032組を対象にインターネット上で行った。
認知度は年々アップし7割超に
オープンAIの「チャットGPT」やグーグルの「ジェミニ」などの対話型の生成AIを知っているかを尋ねたところ、「知っている」「聞いたことがある」と答えた小学生が合わせて74・7%に上った。
過去の同様の調査では、2023年が47・8%、24年が57・1%で、年々認知度が上がる傾向にある。
「知っている」と答えた小学生に利用頻度を聞いたところ、「よく使っている」が15・8%、「ときどき使っている」が38・4%、「試しに使ってみたことがある」が29・1%で、一度でも使った経験のある小学生が8割を超えた。
保護者のスマートフォンやパソコンなどを使うケースが最も多くて42・6%に上り、次いで、自分のものを使うケースが39・2%だった。保護者が子どもの代わりに調べている家庭は2割弱にとどまった。
楽しむ半面、間違いに気づく子も
生成AIを利用することについて、子どもたち自身はどう感じているのだろうか。
「生成AIと話すと、楽しい・安心すると思うことがありますか」との問いに、「よくある」(13・6%)、「たまにある」(34・8%)が合わせて約半数を占めた。
また、「分からないことがあったとき、人に聞く前にAIに聞くことがありますか」と尋ねたところ、「とてもあてはまる」「まああてはまる」が合わせて56・9%に上った。
生成AIを頼りにする子どもが多い一方で、その回答が「間違っている」と気づいたことがあるという小学生も約6割いた。
子どもたちの間で生成AIの利用が広がっていることについて、保護者の受け止めは割れている。
生成AIを使った子どもの変化について複数回答で尋ねたところ、「情報収集力が高まった」「考える力が育った」など肯定的な回答が合わせて65・2%に上った一方、「自分で考える機会が減った」「情報収集力が下がった」などとネガティブに受け止める答えも合わせて49・3%と一定程度に上った。
「リスクを踏まえ、効果的な利用を」
「ベネッセ教育総合研究所」統括責任者・教育イノベーションセンター長の小村俊平さんは「AIのリスクを考慮しながら、どう効果的に使うか、人間ならではの資質・能力をいかに育んでいくかが大きなテーマになりそうだ」とコメントしている。【田中理知】
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