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<人生の幸福度を高めるカギは、「がんばること」ではなく「やらなくていいことを切り捨てること」。自分にとっての「大きな石=本当に大事な1%」を見極め、残りを手放すための考え方>
人生の幸福度を高めるにはどうすればいいか。2ちゃんねる創設者のひろゆきさんは「時間、お金、そして心身の健康には限りがあるので、『やらなくてもいいこと』はどんどん切り捨てたほうがいい」という――。
※本稿は、ひろゆき『僕が忙しい現代人に伝えたい 休む技術』(Gakken)の一部を再編集したものです。
深夜に筋トレするよりさっさと寝ろ
夜遅くまで会社で働き、深夜のジムでストイックにトレーニングに励む。いかにも「イケてるビジネスパーソン」ですよね。
しかし、僕がみなさんにこの生活スタイルを勧めることは決してありません。むしろ、仕事の効率という観点から見れば、非効率だとさえ思います。僕の部下だったら「え、君はバカなの?」と言うかもしれません。
仕事のパフォーマンスを上げることが目的だとすれば、僕ならさっさと布団に入り、毎日7〜8時間たっぷり睡眠をとって、心身ともに万全の状態で仕事に臨みます。知的労働は体力で差が出るわけではなく、脳のコンディションに大きく左右されるからです。
もちろん定期的な運動は大切なので、できるだけ階段を使ったり、ひと駅分歩いたりといった小さな努力は惜しみません。しかし、「筋トレが趣味です!」という人を除けば、わざわざ貴重な睡眠時間を削ってまでジムに通う価値は、僕にはどうも理解できないのです。
平和な日本でなぜメンタル強化?
「トップ経営者もストイックに運動しているだろう」という意見もあるでしょう。たしかに何年か前、経営者の間でトライアスロンがブームになったこともあります。最近はキックボクシングが人気ですね。その目的はずばりメンタル強化。普段の生活では味わえないような負荷を自分に課し、「それに耐え抜いた俺、すげー!」と自信につなげる究極のドMスポーツ。その理屈はなんとなく理解できます。
でも、僕のように超マイペースで働いている人や、ごく普通の会社員にとって、そこまでメンタルを鍛える必要はあるでしょうか。しんどくなったら逃げればいいだけ。僕たちは戦場にいるわけではありません。
・「本当はやらなくていいこと」を努力する。
・「努力は報われる」と、間違えたがんばり方を続ける。
・オールラウンドに優秀な人を目指して心が折れる。
これって、ものすごく人生で損をしている気がします。自分の普段の行動を振り返って無駄なことを少しずつ排除していけば、人生はもっと軽やかになるはずです。
賢い人はあえて「お酒が飲めない」と言う
似た話で言うと、ビジネスパーソン同士の「夜の付き合い」があります。
「プライベートに時間を使いたいんだけどなぁ」
「仕事が忙しすぎて、時間がもったいない。本音では断りたい」
など悩む方も多いかもしれません。
無茶苦茶忙しい経営者なんかだと、最優先したいことは本業でも、経営者の仲間関係をあまりにおざなりにしてしまうと、敵をつくったり、情報をシェアしてもらえなかったり、助けが必要なときに拒まれたりと弊害が出てくるかもしれません。
僕が「あ、この人賢いな」と思った知人の中国人経営者は、夜の誘いをかわすために公の場では「お酒が飲めないキャラ」を演じていました。
飲み会のデメリットは翌日まで続く
それもそのはず。中国の宴席は超体育会系で、アルコール度数の高いお酒をガンガン飲み干すハードなスタイル。すると仕事や睡眠の時間を奪われるだけではなく、翌日もお酒が残って仕事のアウトプットが激減します。
そこで彼は心象を悪くせずに宴席を断る方法として、普段から「お酒飲めないんです」と言いまわるようにしたそうです。そうすれば誘い自体も減りますし、参加してもお茶だけ飲んでいればいいので二日酔いの心配はありません。
真面目な人は「ウソをつくのはちょっと......」と感じるかもしれません。でも、誰も傷つけないウソに罪悪感を覚える必要はないでしょう。むしろ、正直に言わないことで無駄な軋轢を避けていると考えれば、それは自分にとっても、周囲にとってもwin-winの「いいウソ」なんじゃないですかね。
まったく同じテクニックで仕事の時間を確保している経営者を、僕はほかにも知っています。自分にとって優先すべきことがはっきりわかっている頭のいい人は、誰もマイナスにしないテクニックを使うのです。
人生における最優先事項を即答できるか
時間、お金、そして心身の健康は各自に与えられた資源です。これらは無限にあるように見えて、多くの人が考えるよりずっと限られています。お金はさすがに日々向き合わざるを得ませんが、時間や健康については、特に若い人ほど「無限にあるもの」と錯覚しがちです。
私がよく話す「瓶の話」をご存じの方もいるかもしれません。
これは、ある大学教授が学生に語った寓話です。人生を大きな瓶にたとえるなら、本当に優先したい「大きな石」(動画ではゴルフボール)から瓶に入れていかないと、日々の些細なタスク(砂利や砂)で埋まってしまい、肝心な大きな石が入る余地がなくなるよ、という人生の教訓です。
この先生が学生に伝えたかったことは、「あなたにとって、人生の大きな石(最も大切にしたい1%)はなんですか?」という問いです。
「大きな石」は家族や友人、信仰、健康、趣味などなんでも構いません。でも、「そもそも自分の人生において最優先したいことは何か?」を即答できる人が、とくに若い人の場合は少ないのではないかと思うのです。
日本人が捨てられない3つの無駄
たとえば、もし「庭のある家で子どもが遊ぶ姿を眺めること」が夢なら、家の購入資金をどう稼ぎ、子どもの成長を見守る時間的余裕をどう作るかといったことから逆算して日々の判断を下すべきですし、「会社と家庭、どちらが大事?」と問われたときも「間違いなく家庭です」と迷いなく答えられるはずです。
人生の大きな石が定まっていないと、どうでもいい砂利や砂がどんどん入ってくるだけではなく、自分にとって重要ではない大きな石が人生の大半を占めていきます。それだけは避けないといけません。
日本人の場合、その「本当はやらなくてもいいこと」の典型は「オーバーワーク」や「儀礼的な人付き合い」、「世間体」といった類ではないでしょうか。
会社に言われるがまま休日も働いたり、なんとなく惰性で飲み会に時間とお金を使ったり、周囲の評価ばかり気にして偽りの自分を演じてぐったり疲れる......といったことですね。
「9割の必要ないこと」は切り捨てる
いちばん大切なことを意識するメリットは、「やらなくてもいいこと」が浮き彫りになることです。バケットリスト(死ぬまでにやりたいことを書いたリスト)みたいなものがありますが、その逆バージョン。人生で切り捨てていいことのリストです。それを早めに持っておくと、日々の生活にゆとりが生まれてきます。
僕の感覚ではこの「実は必要ないこと」は「人生の9割」、あるいは究極「99%」がそうなんじゃないかと思っています。
もちろん仕事を最優先したい人もいるでしょうし、それはそれで問題ありません。その人にとっての「大きな石」が「仕事」の場合もあるでしょうし。
しかし、もし無理にやりたくないことをやっているのであれば、ちょっと考え直してみませんか? 自分にとっての大きな石を実現するためには、できるだけ仕事を早く切り上げたり、休みを取ったり、残業を避けるといった「9割は切り捨てる」工夫が必要になるでしょう。
飲み会を断ると月30時間と4万円が浮く
「自分のために、休んだりしてもいいのだろうか......」
真面目な人は、「休むこと」に罪悪感をおぼえがちです。いいに決まっています。あなたの時間ですし、あなたの有給休暇なんですから。「どうしても仕事に気分が乗らない」という理由で休んだって、別にいいはずです。
たとえば僕みたいに「誰かのおごりではない限り、飲み会には行かない」と決めれば、時間とお金と体力的な余裕が生まれます。週に2回飲みに行っていた人なら、月換算で30時間くらいの時間と、4万円くらいのお金が余るわけですね。
僕ならその時間とお金を使って、思いっきりダラダラしたり、遊んだりします。なぜなら僕にとっての大きな石は「自分の幸せの総量を増やすこと」だからです。
あなたにとって大きな石が、「趣味」「家族」「ひたすらダラダラする」「1日中寝る」なら、それが幸せになるための鍵。どうぞ最優先にしてください。
「それを可能にするためにはどうしたらいいんだ?」ということをいつも逆算していきましょう。
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