弥生時代から古墳時代への過渡期に築かれた、国内最古級の古墳が集まる奈良県桜井市の国史跡・纒向(まきむく)古墳群に、新たに二つの古墳が加わることになった。国の文化審議会は19日、同古墳群に勝山古墳と矢塚古墳を追加指定することを答申した。

 勝山古墳は復元全長約115メートルの前方後円墳。前方部はかなり削られて細くなっているが、発掘調査で全体の形が判明した。周濠(しゅうごう)から多数の木製品が見つかり、年輪年代測定で3世紀前半のものと推定された。ただ、3世紀中ごろ~後半の土器も出土しており、年代についての見方は研究者の間でも分かれている。

 矢塚古墳は前方部が削られて円墳状になっているが、発掘調査によって全長93メートル以上の前方後円墳と判明した。周濠で出土した土器から、3世紀半ば以前に築造されたとみられる。

 纒向古墳群は2006年、発掘調査で最古級の古墳であることが判明した纒向石塚古墳とホケノ山古墳の2基で国史跡に指定された。前方後円墳が円筒埴輪(はにわ)や葺石(ふきいし)などを備えて定型化するより前の古墳群で、弥生時代の墳墓に分類する研究者もいる。

 20年ぶりに古墳2基が追加指定されることについて、桜井市教育委員会は「地権者の同意が得られたため」と説明。今後、両古墳の南にある東田大塚古墳(全長約120メートル)の追加指定も目指すとしている。

 このほか、国がユネスコの世界文化遺産に推薦し、来年に登録が審議される「飛鳥・藤原の宮都」の構成資産である国特別史跡・藤原宮跡(橿原市)と、その南に広がる国史跡・藤原京跡の左京七条二坊跡(同)について、土地所有者の同意が得られた区域の追加指定も答申された。

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