今夏に開かれた青森ねぶた祭(8月2~7日)で排出された二酸化炭素(CO2)の一部を、市民団体や運行団体が青森県有林の吸収分を利用したカーボンオフセット(相殺)を実施した。参加した関係者は「さらに取り組みを進め、日本を代表する祭りの脱炭素化を目指したい」と話している。

 オフセットは、青森市地球温暖化防止活動推進センターが主体となって青森ねぶた運行団体協議会と青森の温暖化対策を考える会が協力した。

 協議会の24団体のうち10団体が、オフセットに参加。10団体が今夏、ねぶた祭の発電機や車両などで使用した燃料から排出したCO2は3.1トンと推計される。推進センターを運営するNPO法人青森県環境パートナーシップセンターは市民からの寄付などを利用して、青森市南東部の八甲田山系に位置する県有林のJクレジット4トンを4万8400円で購入、今月5日にオフセットした。県が森林整備(間伐)によって吸収されるCO2量を販売し、購入側が自身のCO2削減に利用する仕組みだ。このため今回は、運行団体の費用支出はない。

 パートナーシップセンターの白鳥五大理事は「センターが目指すのは、市民が自主的に温暖化防止活動を進めること。世界に誇る青森ねぶた祭がオフセットすることで、多くの人が温暖化問題を考えるきっかけにしてほしい」と話した。

 青森の温暖化対策を考える会の中堀一弥代表は「猛暑や豪雨、ホタテの大量死、リンゴの着色不良など、県内でも温暖化の影響が顕著になっている。来年はさらに多くの運行団体に参加してもらい、将来は地元の再生可能エネルギーによるねぶた祭の脱炭素化を実現したい」と話している。

 オフセットに参加した青森市役所ねぶた実行委員会の村田幸長事務局長は「青森市としてもねぶた祭の保存や伝承と地球温暖化防止の両立が大事だと考えている。青森ねぶた祭で排出されるCO2が環境負荷を与えているのは事実なので、オフセットは有用だと思い参加した。費用負担が必要になっても捻出して続けていきたい」と話した。JRねぶた実行プロジェクトの菊地秀才さんは「これまでも照明のLED化や発電機の小型化などCO2削減に取り組んできたが、オフセットも含めて今後も脱炭素化を目指したい」と話している。

 参加したのは、サンロード青森、ヤマト運輸ねぶた実行委員会、県庁ねぶた実行委員会、青森青年会議所、青森市役所ねぶた実行委員会、青森菱友会、プロクレアねぶた実行プロジェクト、東北電力ねぶた愛好会、JRねぶた実行プロジェクト、藤本建設出世大太鼓の10団体。

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