サッカー・日本フットボールリーグ(JFL)のいわてグルージャ盛岡に所属する牟田雄祐さん(35)が来春、岩手県紫波町に障害がある子供の支援施設を開設する。Jリーグで通算192試合に出場経験があり、「選手として育ててくれた岩手に恩返ししたい」と、準備に奔走している。
牟田さんは筑陽学園(福岡県太宰府市)や福岡大学(福岡市)で全国大会に出場し、各世代での日本代表にも選ばれた。2013年にJ1の名古屋グランパスに入団。京都サンガなどを経て、20年に当時J3だったグルージャ盛岡に移籍。21年には主将として活躍し、J2昇格に貢献した。その後、海外移籍など経験し、今季、再びグルージャに加入した。
牟田さんは2歳下の弟に障害がある。また、これまで児童養護施設の訪問や支援などを続けてきた。「再び岩手に戻ってきた縁もあり、ここで社会貢献したいという思いがあった」という。知人を介して地域で40年ほど障害者支援に関わってきた田代拓之さんと出会い、支援施設の開設が一気に具体化した。
社会福祉法人の所長を務める田代さんは「最初は『どこまで本気なのか』と思った。しかし、話しているうちに、障害者教育や岩手への熱い思いを感じた。若い人らしいユニークな発想もある」と協力した理由を話す。
新しい施設は「TERASU village」といい、障害がある子供の個性を照らし、地域を明るくする「村」を目指す思いを込めた。保育園だった建物を改装。10人程度の利用を想定し、発達支援やデイサービスなどを行う。運営は牟田さんが経営する会社が担い、田代さんは所長に就任する。来年4月の開設時には、5人程度の社員も新たに雇用する準備を進めている。
改装費は600万円ほどかかることから、クラウドファンディング(https://www.furusato-tax.jp/gcf/4973)で今年いっぱい資金を募っている。牟田さんは「開設後はグルージャの選手と子供の交流も進め、スポーツと福祉と文化が交わる拠点にしたい」と話している。【佐藤岳幸】
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