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<温かい飲み物をプラスチック製カップに注ぐと──オーストラリアの研究者が示した驚きの研究結果>
外出先でコーヒーや紅茶を楽しむ人は、手に取る前に一度立ち止まったほうがよさそうだ。使い捨てのプラスチック製カップから、飲み物の中に数千個のマイクロプラスチックが放出されている可能性があるとする研究結果が、新たに示された。
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マイクロプラスチックは、大きなプラスチック製品が劣化・分解する過程で生じるほか、製品の使用中に直接放出される場合もある。
「これらの粒子は最終的に自然環境や食物、そして私たちの体内にまで入り込む」と、オーストラリア・グリフィス大学の環境科学者で、本論文の著者であるシャンユー・リウ(Xiangyu Liu)は声明で述べている。
研究では、リウらの研究チームが、査読付き論文30本のデータを精査し、ポリエチレンやポリプロピレンといった一般的なプラスチックが、さまざまな条件下でどのように振る舞うかを分析した。
その結果、「マイクロプラスチック放出の主な要因は熱であり、カップの素材は想像以上に重要だ」と判明したと、リウは学術ニュースサイト「ザ・カンバセーション」への寄稿記事の中で指摘している。
「カップがプラスチック製、あるいは薄いプラスチックで表面処理が施されている場合、数千個もの微小なプラスチック片が飲み物に直接放出されている可能性が高い」
マイクロプラスチックとは、サイズがおよそ1マイクロメートルから5ミリメートルのプラスチック粒子を指し、リウは「ほこり一粒ほどの大きさから、ゴマ粒ほどの大きさまで」と説明している。
研究チームは、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリスチレンで作られた製品からのマイクロプラスチック放出量が、「温度の上昇とともに有意に増加する」ことを確認した。
報告されたマイクロプラスチックの放出量は、素材や研究設計によって、1リットル当たり数百個から800万個以上まで幅があった。
また、内側にプラスチックコーティングが施された紙コップは、完全にプラスチック製のカップと比べて、放出されるマイクロプラスチックの量が少ないことも分かった。
研究チームは、「ポリエチレンでコーティングされた紙コップは、5度と60度のいずれの条件でも、ポリエチレン製プラスチックカップより一貫してマイクロプラスチックの放出量が少なかった」と説明している。
具体的には、ポリエチレン製カップでは温度が5度から60度に上昇すると、マイクロプラスチックの放出量が32.7%増加した一方、ポリエチレンコーティング紙コップでは同様の傾向は確認されなかった。
一方で、飲み物をカップに入れておく時間、いわゆる「浸漬時間」は、マイクロプラスチック放出の一貫した要因とはならなかった。リウは、「プラスチックカップに飲み物を長時間入れておくことよりも、液体が最初にプラスチックに触れたときの温度のほうが重要であることを示している」と述べている。
今回の研究は、国連環境計画(UNEP)が2021年に公表した報告書で、年間約5000億個の使い捨てカップが使用されていると指摘されている状況を背景に発表された。
同報告書は、「使い捨て飲料カップの使用は今後、指数関数的に増加する見通しだ」と警告した上で、「家庭外で飲料を消費するための持続可能な代替手段を見つけるため、緊急の対応が必要だ」としている。
UNEPは、「マイクロプラスチックは摂取や吸入を通じて人体に入り込む可能性がある」と説明しており、実際に「動脈の壁を含む、人体のさまざまな部位で検出されている」としている。
さらにUNEPは2019年の研究を引用し、「居住地や生活環境によって差はあるものの、一部の成人は年間平均で3万9000個から5万2000個のマイクロプラスチック粒子を摂取している可能性がある」と指摘している。
References
Liu, X., Li, D., Li, Z., Ball, A. S., & Chen, C. (2026). Release of microplastics from commonly used plastic containers: Combined meta-analysis and case study. Journal of Hazardous Materials: Plastics, 2. https://doi.org/10.1016/j.hazmp.2025.100028
Marfella, R., Prattichizzo, F., Sardu, C., Fulgenzi, G., Graciotti, L., Spadoni, T., D'Onofrio, N., Scisciola, L., Grotta, R. L., Frigé, C., Pellegrini, V., Municinò, M., Siniscalchi, M., Spinetti, F., Vigliotti, G., Vecchione, C., Carrizzo, A., Accarino, G., Squillante, A., ... Paolisso, G. (2024). Microplastics and Nanoplastics in Atheromas and Cardiovascular Events. New England Journal of Medicine, 390(10), 900-910. https://doi.org/10.1056/NEJMoa2309822
United Nations Environment Programme. (2021). Single-use beverage cups and their alternatives: Recommendations from life cycle assessments. United Nations Environment Programme.
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