2026年の初回を迎え、午(うま)年らしいお菓子って何だろうと考えていたら、思い浮かんだのが「なげわ」。リング状のポテトスナックだ。子どものころ、カウボーイの絵がパッケージに描かれていた記憶がある。午年、馬、カウボーイ……の連想は、とばし過ぎでしょうか。「なげわ」を製造・販売している東ハト(東京都豊島区)の商品では、同じくリング状のポテトスナック「ポテコ」も人気だ。見た目が似ている二つのスナック、ウマく共存しているのはどうしてか。午年の初めに、調べてみたい。
指にはめちゃう、同い年の人気者
まずは食べ比べてみよう。「なげわ」は「うましおバター味」、「ポテコ」は「うましお味」を選んだ。パッケージを確認すると、乾燥ポテト、植物油脂など共通する原材料も多い。同じリング状でも、幅が細めで形に躍動感がある「なげわ」に対し、「ポテコ」は少し幅広で比較的整った形。「なげわ」はバター風味がきいていて、サクサクと食べ進められる。「ポテコ」はカリッとした食感で、イモらしさが味わえる。つい指にはめたくなる点は共通しているけど、意識するといろいろ違いがあるなあ。
どちらも同じ1973年生まれ。当時は、ポテトスナックといえばポテトチップスが主流の時代。「今までにない形状のポテトスナックを作りたい」と開発されたのが、この二つのスナックだった。「なげわ」は形がカウボーイの投げ縄に似ていたことから、「ポテコ」は「ポテトの子」という意味で、それぞれ名付けられた。
「リング状のポテトスナックを作るには技術が必要。今でも、日本では弊社くらいではないかと思います」と広報の福原千晶さんは話す。実は、指にはめるのは「当初はまったく想定外」だったという。「お客さまが指にはめて食べてくださって、そこから浸透していったんですよ」。味も形も、うまくはまったんですね。
明確な違いはまだある。パッケージは、初代の「なげわ」が袋で「ポテコ」は黄色い箱。デザインも、投げ縄やカウボーイなどが描かれた「なげわ」に対し、「ポテコ」は欧米のお菓子を思わせるポップなデザインだった。そして、かつては関東では「ポテコ」、関西では「なげわ」が好まれる傾向にあったそうだ。
私は大阪出身なので、子ども時代は「ポテコ」は「なげわ」のパチモン(偽物)かなと思っていました……ごめんなさい。
06年に転機が訪れる。どちらも全国的に愛されるお菓子になることを目指し、パッケージなどを同時に刷新したのだ。指をモチーフにしたキャラクター「なげわくん」と「ポテコくん」も誕生した。セット感のあるデザインの相乗効果もあって、今はいずれも全国で親しまれるお菓子になった。
「実は『なげわくん』と『ポテコくん』はいとこ同士なんですよ」と福原さんが教えてくれた。いとことは……絶妙な関係! 元気で明るく、優しくて真面目なポテコくんと対照的に、関西出身のなげわくんはちょっぴりやんちゃな性格だという。個性を知ったら、輪をかけて好きになります。そういえば、同じリング状のスナックで辛い「暴君ハバネロ」は遠い親戚とか? 「そこは親戚関係はないんです」と福原さん、苦笑い。こちらは他人の空似なんですね。
リング以外にも、網状の厚切りカットで食べ応えのある食感の「あみじゃが」、ギザギザでシーズニング(粉末の調味料)がよく絡む「ギザじゃが」など、さまざまな形状のポテトスナックが人気を集めている。
東ハトは、創業者の小林茂義さんが52年にビスケットを製造したのが始まり。最初は「東京製菓」だったが、同じ社名のメーカーが多く存在していたため、翌年には「東鳩東京製菓」に変更した。社名にハトを取り込んだのは、平和のシンボルであり、小林さんが好きだったから。取引先などから「東ハトさん」の愛称で呼ばれることが多く、のちに社名自体を「東ハト」に変更した。
ビスケットに限らず、長年愛される焼き菓子が多い。レーズンをたっぷり使ったクッキー「オールレーズン」は、72年発売のロングセラー商品。「ハーベスト」は薄さ3ミリのビスケットで、サクサクと軽い食感だ。クッキーの「ソルティ」には、発酵バターや「ゲランドの塩」が使われている。
大切にしているのは、ユニークで価値ある製品を提供し、よい驚きと笑顔をもたらす存在になること。従業員は「ひとりのお菓子好きとして」製品に向きあうことを心に刻んでいる。ホームページにはファンの思いを書き込むコーナーがあり、寄せられた声は商品開発や品質向上の参考にしているそうだ。
長年愛される商品を大切にしながら、消費者の要望に耳を傾ける柔軟さも忘れない。「お菓子から生まれる笑顔を、次の世代にも伝えていきたいですね」と福原さんは話す。駿馬(しゅんめ)のように疾走できなくても、それぞれの歩幅で歩いていけばいい。ウマくいくことばかりではなくとも、笑顔の輪が広がる一年になりますように。【水津聡子】
誕生55周年「キャラメルコーン」
ミルクキャラメル風味のコーンスナック「キャラメルコーン」は1971年発売の人気商品。当時、コーンスナックは塩味が主流だったが、創業者の小林さんが「甘いスナックを作りたい」と開発に着手した。アルファベットのCのような形状で、ふんわりサクサクした、とろける食感。優しい甘さが後を引くお菓子が誕生した。子どものころに聞いた「♪キャラメルコ~ン♪」というCMソング、耳に残っています。
発売当初から一緒に入っているのが、塩気のある皮付きのローストピーナツ。「箸休め」になり、皮付きのまま入れることで、香ばしさがコーンパフへと移る効果もある。「あるとないでは、香りが全然違うんですよ」と福原さんが教えてくれた。
キャラメルコーンはこれまで味やパッケージ違いで500種類以上が販売されている。「ソルティキャラメルコーン」「ショコラキャラメルコーン」は、もともとは期間限定商品だったが、多くの人からの熱い声援を受けてレギュラー入りした。
現在、期間限定で販売している「梅味」は、攻めたフレーバーかなと思ったが、甘酸っぱくて食べやすい。ひな祭りなどの特別なパッケージもかわいいですね。発売55周年を記念し、ギフト券などが当たるキャンペーンも実施している。
ん、もしかしてこのキャラクターのお名前は「キャラメルコーンくん」? 福原さんは「そうなんです。ちなみに横に描かれているピーナツのキャラクターは『ピーナッツくん』です」と笑う。まっすぐなネーミング、何だかほっこりしますね。
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