超短期決戦となった衆院選の期日前投票では、社会的な弱者にもしわ寄せが及んでいる。選挙公報のように、候補者の経歴や公約などを伝える視覚障害者向けの「選挙のお知らせ」の配布が遅れていて、遅い所では6日に届く見込みという。
2004年から選挙公報全文を点訳
各自治体の選挙管理委員会は目の不自由な有権者にも候補者の情報を伝えようと、点字に訳した冊子の作成などを民間に委託して希望者に届けている。
2004年の参院選の時には、一部の地域で「視覚障害者選挙情報支援プロジェクト」が始まった。
それまで選挙の情報は、候補者名や経歴などをまとめた簡略版だった。プロジェクトでは、社会福祉法人「日本盲人福祉委員会」(東京都)などが中心となって、選挙公報の全文を点訳した点字版の発行を始めた。現在は、最高裁裁判官の国民審査の分も合わせて8万部弱を届けている。
点字版は、点字出版に携わる全国の20余りの関係団体などが点訳する。今回の衆院選では、比例代表の11ブロックと32都道府県の226小選挙区の分を作成することになった。
「余裕ないスケジュールで不利益」
だが、超短期決戦だったため、十分な作業時間の確保が難しかったという。候補者の名前の読み方などを確認するため、深夜に政党関係者と電話したり、土日に点訳に誤りがないか選挙公報と照合したりした。
それで、今月1日にようやく全ての確認作業が終わったという。早い地域では先月末に完成して発送したが、遅い地域では到着が今月6日になってしまいそうだという。
お知らせの制作などを担う社会福祉法人「日本点字図書館」(東京都)の常務理事、伊藤宣真(のぶざね)さん(69)は「最近はSNSなどでも情報を確認できるが、『お知らせ』には候補それぞれの意志が表れた文章に触れられるメリットがある。余裕のないスケジュールで衆院が解散すると、十分に情報を得られず不利益を被る人がいるということを忘れないでほしい」と話した。【小坂春乃】
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