満開のサクラと菜の花に囲まれた線路を走る小湊鉄道の「キハ200形ディーゼル気動車」=千葉県市原市で2017年4月10日午後2時56分、海老名富夫撮影
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 小湊鉄道(千葉県市原市)は学生を対象に、1万円で全区間(五井―上総中野間、39・1キロ)が1年間乗り放題となる「学生専用 全線年間パスポート(年パス)」を発売する。鉄道利用を促進して、沿線の人口流出を食い止め、地域の活性化を図ることが狙い。導入による収入の減少を補うための寄付も募る。

 年パスの使用期間は4月1日~2027年3月31日。対象は小中高校生、大学生、専門学校生で30歳以下。自宅や通学先の所在地に関係なく全国から購入でき、アルバイトや趣味にも使える電子乗車券だ。15日に販売を開始。同社ウェブサイトからスマートフォンで購入する。

 導入の背景には沿線の子どもの減少への危機感がある。小湊鉄道はコロナ禍で減った通学定期の利用がその後も回復していない。沿線の人口を調べると、02年以降で14歳以下の子どもが8割も減っている地区があったという。石川晋平社長は「これ以上減ったら鉄道だけでなく、沿線のいろいろなことが立ち行かなくなる」と話す。

小湊鉄道
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 沿線で子育て世帯の負担になっていたのが、通学定期の高さだ。利用が多い五井―上総牛久間の6カ月定期は9万7150円で、年間では19万円を超える。石川社長は、中学生の子がいる母親から「高校はスクールバスのある私立しか考えていない」と言われたことがあるという。親が不便さから引っ越しを考える状況を変え、子どもたちがずっと暮らせるようにしたい――。社内で考えた結果が年パスだった。

 小湊鉄道の沿線に住むが、自転車で約1時間かけて通学している高校2年生の男子は「1万円なら、親に鉄道を使わせてと頼もうかと考えている」と話す。

 一方、小湊鉄道は年パスの導入により減少する通学定期の収入を補うため、寄付制度「学生応援寄付Go!ジモト」を設ける。1口3000円で、過去5年の通学定期の売り上げの平均額4000万円を目標にする。

小湊鉄道が発売する電子乗車券「学生専用 全線年間パスポート」=千葉県市原市で2026年2月19日午後5時44分、宮田哲撮影
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 寄付者には、1日フリー乗車券として使える「お楽しみ券」を提供する。沿線の18店・施設でコーヒー1杯無料や無料まき割り体験などのサービスや割引を受けられる特典付きで、1枚の券で特典を7回まで利用できる。寄付は4月1日から同社のウェブサイトや駅などで受け付ける。

 石川社長は「4000万円を集めるのは簡単でないが覚悟を持って取り組みたい。地元が好きという気持ちを3000円の形で表してもらえれば」と住民らの支援に期待する。

 また、小湊鉄道はダイヤを14日に改正し、五井―上総牛久間は朝と夜遅く以外は40分間隔の運転にして分かりやすくする。【宮田哲】

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