ブイの上空を飛ぶコクガン。左手前の漁具の上にも羽を休めるコクガンの姿が確認できる=中国・山東半島沖で2026年1月、沢祐介さん提供

 国の天然記念物で、環境省のレッドデータブックで絶滅危惧Ⅱ類の野鳥・コクガンの大規模越冬地が中国・山東半島沖にあることが、国内外の研究者で構成する調査グループの調べで判明した。コクガンは沖合で過ごすことが多く、人の目につきにくいため生態が謎に包まれているが、2017年11月から追跡調査を続けてきた同グループが、10年がかりで大規模越冬地の確認にこぎ付けた。

 コクガンはガンの仲間で全長60センチ前後。全身はほぼ真っ黒で、首の周りの白いリングがアクセントのように目立つ。

 日本、米国、中国、ロシアの4カ国の研究者による「コクガン共同研究調査グループ」代表の沢祐介・山階鳥類研究所研究員(42)によると、道東の野付半島で昨年11月中旬、8羽に発信器を装着し、人工衛星による追跡を開始した。12月上旬に1羽が山東半島の桑溝(サンゴン)湾に移動したことが全地球測位システム(GPS)で判明。今年1月に行った現地調査で、同湾の沖合3~10キロの海域で1496羽の大群を確認したという。

 沢研究員は「大群を確認した付近は養殖コンブの漁場で多数の黒いブイが浮かんでいて識別が困難。GPSでの位置情報がなければ見つけられなかった」と語った。「GPS発信器も重さが10年前の約3分の1となり、鳥の負担にならずに追跡できるようになった。感無量です」と語る。

 ユーラシア大陸や北米北部で繁殖するコクガンは、野付半島や国後島泊湾を渡りの中継拠点とし、野付半島には秋に8000~9000羽が飛来する。このうち3割は国内での越冬が確認されていたが、残り7割の越冬地は分かっていなかった。【本間浩昭】

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