経済界や学識者、自治体関係者らが人口減少問題を議論する「未来を選択する会議」(議長・三村明夫日本製鉄名誉会長)は27日、人口問題のデータや政策、論考をまとめた「人口問題白書」を公表した。同会議が実施し、約2万人から回答を得た意識調査の結果が盛り込まれた。子育ての経済的な負担や、性別役割分担など社会規範の根強さといった、人口減につながる出生数減の要因に関する問いでは、年代や男女の間で意識に差が出た。
同会議は昨秋に発足。人口減少が深刻化する「消滅可能性自治体」を公表するなど、人口問題を訴えてきた「人口戦略会議」に携わった、三村氏や、増田寛也元総務相らが参加し、白書を出すのは初めて。調査は、今年1~2月、全国の18歳以上の男女を対象にインターネットを通じ実施し、各世代で4000~5000人、男女で各1万人以上から回答を得た。
「子育てや教育費の負担が重いこと」を出生数減少の要因と思うと回答した割合は、すべての年代で75~80%程度だったが、このうち、「とてもそう思う」では年代間で差が出た。18~29歳は42・9%、30~39歳は38・8%だったが、年代が上がるごとに低下。50~59歳が25・2%、60歳以上は19・4%だった。男女でも、男性26・7%に対し、女性36・2%だった。
「家事・育児が女性に偏り男性が稼ぐべきという規範」など社会規範を要因と思うか、という問いでは、男女差が顕著だった。女性の26・4%が「とてもそう思う」と答えたのに対し、男性は11・9%だった。「両立支援」や「子育て環境」などを要因とするほかの問いでも、「とても」の割合は女性の方が男性より高い傾向が見て取れた。年代別でみても、経済負担と同様に、いずれも年代が高いほど「とても」は低くなった。
東京都内で27日に記者会見した増田氏は、「少子化対策は子育て支援の拡充だけでなく『共働き・共育て』の観点を」と求める同会議の提言を発表。高市早苗首相が発足させた「人口戦略本部」について、「『器』ができただけだ」と具体的な動きがないことを指摘した上で、同本部に総合的な政策立案の司令塔としての機能を求めた。
日本の総人口は24年時点で1億2380万人となり、14年連続で減少。出生数は24年に初めて70万人を割り、合計特殊出生率は1・15で過去最低を更新した。今後、生産年齢人口が減少し続ける一方で、65歳以上人口は43年に3953万人でピークを迎えると推計されている。【宇多川はるか】
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