princesscea-pixabay

<腹筋トレの常識は間違っている...「ミッドセクション」を鍛えよ>

日本でも定着した「自重トレーニング」。その伝道者で元囚人、キャリステニクス研究の第一人者ポール・ウェイドによる『プリズナートレーニング外伝 監獄式ボディビルディング』(CEメディアハウス)の「PART 3 「コーチ」ウェイドの自重力ボディビルディング戦略」より一部編集・抜粋。


そこは「腹筋」じゃないぜ。「ミッドセクション」だ

フィットネス関連のウェブサイトは、どこも「腹筋」についての記事を載せている。筋肉雑誌も「腹筋」を特集するのが好きだ。それらの浅はかな内容と一線を画すために、わたしのアドバイスは短くシャープなものになる。

腹筋に対する現代的なアプローチ法からはなにがなんでも距離を置け!

その一言に尽きる。雑誌がなにかを主張していたら、即座に、正反対のことをやるようにする。バランスボールの上で腹を鍛えろと書いてあったら、コンクリートの上に倒れ込め。

レップなど数えずに腹部の緊張と火照りを感じろと書いてあったら、腹の「感覚」など忘れてレップス数のカウントに集中する。腹筋をターゲットにして短い距離をセコセコとばたつかせろ(クランチのこと)と書いてあったら、腹筋を中心にした複合エクササイズをやるようにする。

ミッドセクションワークを副次的エクササイズと考えてはいけない。ワークアウトの最後に、心ここにあらずの数セットをときどきやればいいといった態度ではダメだ。

逆に、コアこそすべてと、弱い動作を50レップス、それを週5回やり続けるのも愚かなアプローチ法になる。

自重力ボディビルダーを目指すなら、ミッドセクション全体を対象にした動作が大きくてタフなワークを選ぶ。それをハードかつ漸進的にやる。プルアップやスクワットと同じように、基礎エクササイズのひとつとして扱うことが最低条件になる。

やるならレッグレイズだ。特に、頭上にあるバーにぶら下がるスタイルがボディビルディングに向いている。

レッグレイズは複合エクササイズであり、腹部だけでなく、股関節屈筋(戦ったり、ランニングしたりするときの要になる筋肉)や大腿直筋(瞬発的に膝を伸ばす動作にかかわる筋肉)にも負荷をかける。


また、ハンギングポジションをとることで、体の前面にある筋肉チェーンに協働作業を強いるものになる。このチェーンには、グリップ、腕、広背筋、胸郭にある鋸筋や肋間筋が含まれている。これらすべてが発達していく。

クランチのような分離エクササイズに惑わされてはならない。チェーンの一領域だけを強くするエクササイズだからだ。全体の中で一部分だけ強いチェーンをエンジニアがつくったら何が起こるか?

そのチェーンは裂ける。狂ったように「腹部」分離エクササイズをやったときに起こるのもそれだ。

何かが「裂ける」。そのスタイルで腹部を鍛えているトレーニーの背中や腰には痛みがあり、ヘルニアや肋骨痛になったり、膝を悪くしたりする。

だから、腹筋を際立つものにしたい時も、ミッドセクション全体を大きく動作させる複合エクササイズを選ぶ必要があるのだ! 偉大なるアラン・キャルバートの言葉を『スーパー・ストレンチ』(1924年)から引用しよう。


大腿前部を動作から外し、腹筋を分離して開発することは可能だ。わたしの意見だが、どの筋肉を開発する場合も、これは馬鹿げたやり方になる。

筋肉は見栄えをよくするためにそこにあるのではなく、使うためにある。そして、腹筋と大腿前部は協働する構造になっている。

つまり、腹筋単体を対象にするより、大腿前部と腹筋を同時に鍛えた方が、より強くなるだけでなく、(皮肉なことに)より開発されて厚くなる。

古い時代のアスリートたちは、この真実を理解していた。最初の方で、腹筋について語られる現代的なアドバイスから距離を置けと言った理由はここにある──いつもの暴言だと勘違いされなかったことを祈りたい。

そして、もし、あなたがミッドセクションのマスターになりたいなら、推薦したい唯一のマニュアルがある。ダニー・カバドロの『Diamond‒Cut Abs』だ。本気でミッドセクションに取り組んでいるなら、蔵書に加えた方がいい。

ダニーは古い時代のキャリステニクスを踏襲するアスリートだ。彼の教え方はシンプルかつ健康的であり、見返りが大きい。ダニーの腹部を見れば、彼のトレーニング法が理にかなっていることがわかる。


ポール・ウェイド(PAUL"COACH" WADE)
元囚人にして、すべての自重筋トレの源流にあるキャリステニクス研究の第一人者。1979年にサン・クエンティン州立刑務所に収監され、その後の23年間のうちの19年間を、アンゴラ(別名ザ・ファーム)やマリオン(ザ・ヘルホール)など、アメリカでもっともタフな監獄の中で暮らす。監獄でサバイブするため、肉体を極限まで強靭にするキャリステニクスを研究・実践、〝コンビクト・コンディショニング・システム〟として体系化。監獄内でエントレナドール(スペイン語で 〝コーチ〟を意味する)と呼ばれるまでになる。自重筋トレの世界でバイブルとなった本書はアメリカでベストセラーになっているが、彼の素顔は謎に包まれている。

  『プリズナートレーニング外伝 監獄式ボディビルディング』
  
  ポール・ウェイド [著]/山田雅久 [訳]
  CEメディアハウス[刊]


(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)


【関連記事】
「筋力の正体」は筋肉ではない...ストロングマンが語った「腱の力」とは?
最強の筋トレは「ブリッジ」だった...健康寿命を左右する「背骨の守り方」とは?
なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋肉は「神経の従者」だった

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。