千葉県館山市でスダチを特産品にしようという取り組みが始まった。3月26日にはモデル農園に徳島県産の苗木を植樹。添え物としてスダチが欠かせないフグ料理専門店と市、栽培業者が連携協定を結び、生産技術の普及や規格外品の活用、「館山すだち」のブランド化などを進めていくことになった。
市と協定を結んだのは、トラフグ料理専門店「玄品」を全国展開する「関門海」(大阪府松原市)と落花生の栽培や加工、販売などを行っている「木村ピーナッツ」(館山市下真倉)。
全国に出荷されるスダチの98%は徳島県産だとされる。館山市内では「商品としての出荷される量はほぼゼロ」(石井博臣副市長)。にもかかわらず特産化プロジェクトが動き出したのは、徳島産の生産量が激減したこととトラフグが館山の地域食材として脚光を浴び始めたことがきっかけだった。
数年前から館山市内の一部漁業者の間でトラフグの漁獲量が増加。館山市沖に国内最大級とみられるトラフグの産卵場が形成されているとの研究発表もあり、2025年には県ふぐ連盟が安房支部を設立した。こうした動きから、関門海の山口久美子社長は館山市に注目していたという。一方、徳島県産のスダチは農家の高齢化や担い手不足などから生産量が激減していた。04年は年間約8000トンだったが19年には半減し、今後5年で2000トンまで落ち込むと見込まれている。スダチの調達先を求める関門海と、トラフグがらみで新たな特産品を生み出そうとしていた市の思惑が一致。「館山すだち」プロジェクトが実現した。
モデル農園は館山市上真倉にあり広さ約1500平方メートル。今年は徳島県産の苗約40本を植えるという。来年以降苗木を増やしていき3~4年後に初出荷、10年後には年間10トンの収穫を目指す。
3月26日には山口社長と木村ピーナッツの吉岡比呂志社長、館山市の森正一市長がモデル農園で植樹式を行った。山口社長は「徳島県産が減っていることを問題視していたので館山での栽培がとても楽しみ」。吉岡社長は「『ピーナツ屋がなんでスダチを?』と思われるかもしれないが、館山で新たな産業が生まれることを夢見てお手伝いしていく」と話した。【岩崎信道】
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