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<肉体を進化させて、「防弾」に鍛え上げる...「原初的な強さ」の条件とは>
日本でも定着した「自重トレーニング」は、自らの体重を利用することで体に無理がなく、本当の強さが身に付く筋トレの王道。
その伝道者で元囚人、キャリステニクス研究の第一人者ポール・ウェイドによる『プリズナートレーニング 実戦!!! スピード&瞬発力編 爆発的な強さを手に入れる無敵の自重筋トレ』(CEメディアハウス)の「CHAPTER12 パワービルディング─3の法則、6の法則」より一部編集・抜粋。
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キップアップやフリップをやる男はセクシーに見えるが、それらの技術にトライできるのは原初的なパワーを体に備えたアスリートだけだ。原初的なパワーとはどういう意味だろう? そうだね、下の3つを見てくれ。
・空中高く跳躍できる脚 ・その脚をたくし込むためにすばやく動くミッドセクション ・動作に推進力をもたらし、力強く地から体を上昇させられる肩と腕のパワー、などだ。
いきなりフリップやキップアップをやり始めてもそういった原初的なパワーは手に入らない。それは、ジャンプとパワープッシュアップをハードに絶え間なく繰り返すことでつけていくものだ。
■【写真】ジャンプ を見る
■【写真】パワープッシュアップ を見る
ステップは、駆け上がるのではなく使い倒す
間違ったやり方でジャンプ/パワープッシュアップにアプローチするアスリートが多い。どういう意味かって?
ジャンプを例に取ろう。簡単なジャンプから始め、次々と難しいジャンプにトライしていき、マスターステップに到達する。これで、チェーンを「征服した」と勘違いすることだ。それではパワーを手に入れることはできない。
イクスプローシブアスリートになりたいなら、キャリアを通じてジャンプチェーン(あるいは、同様のテクニック)に取り組んでもらいたい。
バーチカルリープ(ジャンプチェーンのステップ3)を1回やって「やっつけた」と思うだろうか?
だとしたら勘違いも甚だしい。バーチカルリープを使って、さらなる高みを目指して跳び続けるのだ!
バスケットボールのスーパースターたちは、こういったエクササイズを日々、そして何年も飽きずにやり続けながら高みを目指す。それがパワーを増やすことを知っているからだ。
同じことはパワープッシュアップにも言える。基本を繰り返すことによる愚直で直線的な進歩。それがこのゲームのやり方になる。
もちろん、ステップアップしていってほしい。しかし、ただ単に上のステップを狙い、マスターステップへ向かって駆け上がってはならない──パワートレーニングのマスターステップは、他のマスターステップほど難しいものではない。
ジャンプとパワープッシュアップを使って目指すのは、キャリアを通じてパワーを増やしたり維持したりするツールとして利用し続けるところにある。
また、そうしていれば関節の健康を維持でき、転倒などの衝撃から関節を防弾してくれるものになるだろう。
ジャンプやパワープッシュアップは、いわばパワーを生成するエンジンを大きくするトレーニングだ。一貫性を持ってやっていれば、ターボチャージャー付きにできる。
パワー動作をやらずに、スキル動作に手を出したときの進歩はたかが知れている。ガス欠で走るレーシングカーのような状態になるからだ。
ケガをしないための防弾
定期的にパワートレーニングをやる利点は、パワーを増やすことにとどまらない。パワーを扱う筋肉、軟組織、骨の負荷に対する許容量を大きくするからだ。
アクロバット的な動作を取ってつけたようにルーチンに組み込んだアスリートは、膝のねじれ、ひどい腰痛、足首の捻挫や足の痛みに苦しむことになる。
ジャンプチェーンの練習に適度な時間を費やし、股関節、膝、足首などのコンディションを整えておけば、こういった事態を避けることができる。
ハンドスプリングをやって骨折するケースも耳にする。そのほとんどが前腕の橈骨(とうこつ)を折っている。
そうなるのは、骨や(衝撃吸収材としての)軟組織が強力なパワー動作に適応できないからだ。避ける方法はシンプルだ。パワープッシュアップチェーンを使って、前腕を防弾しておくことだ。
わたしは、だれも傷つけたくはない。宙返りする前に、ジャンプチェーンとパワープッシュアップチェーンを使って十分な準備をしてほしい。いいね?
ポール・ウェイド(PAUL "COACH" WADE)
元囚人にして、すべての自重筋トレの源流にあるキャリステニクス研究の第一人者。1979年にサン・クエンティン州立刑務所に収監され、その後の23年間のうちの19年間を、アンゴラ(別名ザ・ファーム)やマリオン(ザ・ヘルホール)など、アメリカでもっともタフな監獄の中で暮らす。監獄でサバイブするため、肉体を極限まで強靭にするキャリステニクスを研究・実践、〝コンビクト・コンディショニング・システム〟として体系化。監獄内でエントレナドール(スペイン語で〝コーチ〟を意味する)と呼ばれるまでになる。自重筋トレの世界でバイブルとなった本書はアメリカでベストセラーになっているが、彼の素顔は謎に包まれている。

『プリズナートレーニング 実戦!!! スピード&瞬発力編 爆発的な強さを手に入れる無敵の自重筋トレ』
  ポール・ウェイド [著]/山田 雅久 [訳]
  CEメディアハウス[刊]
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ジャンプチェーン

パワープッシュアップチェーン

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