 
      トランプ米大統領が27~29日に来日する。政財界や警備当局などは一気に忙しくなるが、思わぬ業界が来日時の訪問予定に気をもんでいる。
ハンバーガー業界だ。
トランプ氏はハンバーガー好きであることで知られ、過去の来日時にもハンバーガーが提供された実績がある。もしも今回もあるとしたら、どんな展開になるだろうか。
過去はすべて「米国産牛」
トランプ氏は、第1次政権の2017~21年に計3回来日している。いずれも安倍晋三元首相の任期中だ。そのうち2回は安倍氏との「ゴルフ外交」に際し、東京都内の店に特注してハンバーガーが提供された。
「初回に依頼した店は米国産牛を使う店で知られ、提供したメニューは米国産のチーズをたっぷり乗せたハンバーガーでした。安倍さんとしては日米友好関係を演出する狙いがあったのでしょう」
ハンバーガー評論家の松原好秀さん(54)はそう分析する。
2回目は普段は豪州産の牛肉を扱う店だったが、特別に米国産牛を指定した。
日米首脳の距離を近づけるのに貢献したこの2店は、今回のトランプ氏来日期間中は改装などのため通常営業していない。
だが、ハンバーガー業界の裾野は広い。
グルメバーガーの日本一を競う大会で今年優勝した神戸発の「BRISK STAND」(本社・東京都足立区)は米インディアナポリスの世界大会にも出場した。
ヘッドシェフの長郷裕哉さん(36)は「和を大切にした日本一の味と米国人が求める味には違いがありました。でも首脳会談では日米が歩み寄れる地点を探してほしい」と熱い視線を送っている。
同じく世界大会に出場した「Harry’s Junction」(宮城県松島町)のオーナーシェフ、佐藤賢将さん(42)は「円安や物価高で飲食店はどこも苦しい。ハンバーガーを通してそんな現実にも目を向けてほしい」と話す。
ところで今回、実際にトランプ氏がハンバーガーを食べる可能性はあるだろうか。
 
      松原さんは「高市(早苗)首相がゴルフ好きだという情報はないので、プレーに際してつまむというようなチャンスは低いですね」と話す。
松原さんはただし、と付け加えた。
「東京都内のステーキハウスなどではハンバーガーを得意とする店もあります。過去の例を考えると、今回、肉は米国産にこだわる必要はなく、和牛をアピールする機会と捉えてもいいのではないのでしょうか」
ではハンバーガーをほおばりながら、日米首脳は何を語るだろうか。
そう問いかけると松原さんは「関税の話は避けて通れないでしょう。高市さんはバイクや車がお好きだと聞いています。自動車関税について米国側の要求も聞きながら、日本産の和牛や農産物をよろしく、というギブ・アンド・テークの話ができると思います」と指摘する。
トランプ氏は来日に合わせ、米海軍横須賀基地(神奈川県横須賀市)を訪れるという報道もある。
基地の近くに店を構える「TSUNAMI」では、歴代米大統領の名を冠したハンバーガーをメニューに取り入れてきた。「トランプバーガー」はトランプ氏の辛口発言をハラペーニョで表現した人気の逸品だ。
飯田茂社長(72)は「トランプ氏にはロシアとウクライナの戦争を止め、世界平和に尽力してほしい。みんなが安心しておいしくハンバーガーを食べられる世界にしてほしい」と希望を語った。【山崎明子】
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