
検査大手の富士レビオ(東京都)は年内にも、早期のアルツハイマー型認知症などを診断する血液検査薬を厚生労働省に承認申請する。従来の検査に比べて体への負担が小さく、検査費も抑えられる。血液による早期診断で、早い段階からの治療につなげられることが期待される。承認されれば国内で初めてとなる。
アルツハイマー病は「アミロイドベータ(Aβ)」や「タウ」というたんぱく質が脳内にたまって神経細胞が壊れ、認知機能が低下していく病気とされる。富士レビオの検査薬は、血液中のAβと脳の神経細胞から漏れ出すタウの量や比率を解析し、異常なたまり具合を高精度に推定する。米国では5月、認知機能低下の兆候や症状がある50歳以上を対象に補助的な診断薬として承認されている。
現在はアミロイドPET(陽電子放射断層撮影)検査や脳脊髄(せきずい)液を採取する検査が主流で、いずれも費用や体への負担が課題だった。補助診断薬として承認申請する。将来的に確定診断に使われる可能性もある。
近年、軽度の認知症や軽度認知障害(MCI)の人を対象とし、進行を遅らせる「レカネマブ」や「ドナネマブ」といった治療薬が登場した。早期の治療につなげられることが期待される。
厚労省研究班の推計によると、2025年に65歳以上の高齢者で認知症の人は471万人(12・9%)、前段階のMCIは564万人(15・4%)。認知症のうち7割弱がアルツハイマー型認知症とされる。【中村好見、寺町六花】
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