
養殖カキの生産量の8割を占める瀬戸内海で、養殖カキの大量死が発生している。養殖カキの大量死は、なぜ起きているのか。
- 「まるで災害級」瀬戸内海全域で養殖カキが大量死 原因は海の異変か
カキ生産量6割を誇る広島県。水産課の担当者は「高水温と高塩分の海水環境にさらされたカキが、生理障害を引き起こした」とみている。
今夏の県沿岸の平均海水温は、1991~2020年の平均値より1.5~2度ほど高かった。担当者によると、海水温が上がると、カキは産卵・放精の回数が増え、疲弊しやすくなるのだという。
ただ今夏は、高水温に強く、産卵しないように品種改良した県産カキでも、へい死が目立った。
中国地方は今夏、統計史上最速の梅雨明けで雨量が少なかった。県の担当者は「海水の塩分が高くなり、カキが脱水症状のような状態になった可能性もある」と話す。

9月の北風が海域の酸素不足に影響か
瀬戸内海の環境に詳しい広島大の山本民次(たみじ)名誉教授(海洋環境生態学)は、海中の酸素濃度の変化に注目している。
山本名誉教授によると、へい死が多く確認された県中東部の沿岸部では9月以降、北風が集中して吹き続け、表層の海水が一気に南側の沖合へと流れ出た。
そのため、酸素の少ない海底の水が表層近くにまで押し上げられ、この海域で養殖されるカキが酸素不足に陥ったと推測する。
9月に県中部の海中を調べたところ、酸素の濃度が薄くなる境目の「躍層(やくそう)」が、平年は水深7メートルのところにあるが、水面近くまで上がっていたという。
山本名誉教授は「瀬戸内海は水深が浅く、風の影響を受けやすい。高水温や高塩分よりも、酸素不足が大きな影響を及ぼしている可能性がある」と指摘する。

宮城県「大きな変化はない」
一方、東北・三陸沖のカキに目立った異状は確認されていない。
過去2年はへい死が多く、例年の半分ほどに収量が落ちたが、宮城県の担当者は「今年は高水温の時期が短かったせいか、大きな変化はない」と言う。
東北大の杉本周作准教授(海洋物理学)によると、今年は南からの暖かい黒潮がやや南下したため、三陸沖では海水温の著しい上昇は見られなかったという。
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