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広島県のブランド品種「かき小町」=2024年11月、広島県呉市

 養殖カキの生産量の8割を占める瀬戸内海で、養殖カキの大量死が発生している。養殖カキの大量死は、なぜ起きているのか。

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 カキ生産量6割を誇る広島県。水産課の担当者は「高水温と高塩分の海水環境にさらされたカキが、生理障害を引き起こした」とみている。

 今夏の県沿岸の平均海水温は、1991~2020年の平均値より1.5~2度ほど高かった。担当者によると、海水温が上がると、カキは産卵・放精の回数が増え、疲弊しやすくなるのだという。

 ただ今夏は、高水温に強く、産卵しないように品種改良した県産カキでも、へい死が目立った。

 中国地方は今夏、統計史上最速の梅雨明けで雨量が少なかった。県の担当者は「海水の塩分が高くなり、カキが脱水症状のような状態になった可能性もある」と話す。

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口が開いて死んだカキ=2024年11月13日、広島県呉市、山中由睦撮影

9月の北風が海域の酸素不足に影響か

 瀬戸内海の環境に詳しい広島大の山本民次(たみじ)名誉教授(海洋環境生態学)は、海中の酸素濃度の変化に注目している。

 山本名誉教授によると、へい死が多く確認された県中東部の沿岸部では9月以降、北風が集中して吹き続け、表層の海水が一気に南側の沖合へと流れ出た。

 そのため、酸素の少ない海底の水が表層近くにまで押し上げられ、この海域で養殖されるカキが酸素不足に陥ったと推測する。

 9月に県中部の海中を調べたところ、酸素の濃度が薄くなる境目の「躍層(やくそう)」が、平年は水深7メートルのところにあるが、水面近くまで上がっていたという。

 山本名誉教授は「瀬戸内海は水深が浅く、風の影響を受けやすい。高水温や高塩分よりも、酸素不足が大きな影響を及ぼしている可能性がある」と指摘する。

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カキの生育状況について養殖業者から説明を受ける鈴木憲和農水相(右)=2025年11月19日午前9時50分、広島県東広島市、山中由睦撮影

宮城県「大きな変化はない」

 一方、東北・三陸沖のカキに目立った異状は確認されていない。

 過去2年はへい死が多く、例年の半分ほどに収量が落ちたが、宮城県の担当者は「今年は高水温の時期が短かったせいか、大きな変化はない」と言う。

 東北大の杉本周作准教授(海洋物理学)によると、今年は南からの暖かい黒潮がやや南下したため、三陸沖では海水温の著しい上昇は見られなかったという。

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