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<体全体の強さがウエストと股関節に宿るからこそ、すべては「ふくらはぎ」から始まる>
日本でも定着した「自重トレーニング」。その伝道者で元囚人、キャリステニクス研究の第一人者ポール・ウェイドによる『プリズナートレーニング 超絶!! グリップ&関節編 永遠の強さを手に入れる最凶の自重筋トレ』(CEメディアハウス)の「11章 ふくらはぎトレーニング」より一部編集・抜粋。
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最高のふくらはぎをマシン抜きでつくる
ふくらはぎは、監獄の中でもっとも無視されている筋肉だ。実際、ふくらはぎより首をトレーニングしている男の方をよく見かける。
それは、ボクシングをやるやつが多いからだろう。しかし、ちょっとおかしな話だ。ふくらはぎはもっと敬われるべきだとわたしは思う。
たとえば、どんな競技にも強いふくらはぎが必要だ。ふくらはぎがパワー不足では、速く走ったり、高くジャンプしたり、爆発的に体を動かしたりすることができなくなる。
さらに、わたしたちの体全体の強さは、ウエストと股関節に宿る。そこで生成された力を足で踏ん張って伝えることで、ユニットとしての体の強さに変えることができる。
問われるのが、ふくらはぎの筋力だ。ストロングマン競技会を観に行くと、会場にいる男たちがとてつもなく発達したふくらはぎを持っていることに気づく。
ストロングマンになっていく過程で、ふくらはぎが否応もなく発達するからだ。ガス欠になった車を坂道で押すようなはめになると、わたしたちもふくらはぎの大切さを実感する。
燃えるようなふくらはぎの痛さが、それを教えてくれる。ふくらはぎが弱いと、膝や足首にケガを負いやすくなるし、足首に慢性的な痛みを抱えやすくなる。少しは、ふくらはぎを敬う気になれただろうか?
ボディビルダーを魅力的にするのも、ふくらはぎだ。ボディビル大会では、ポーズを取った時に見えるすべての部位がポイントの対象になる。
そして、どんなポーズを取っても、そのほとんどで、ふくらはぎは見える。アーノルド・シュワルツェネッガーも自伝『アーノルド──ボディビルダーたちへの教え(Arnold: The Education of a Bodybuilder)』(未邦訳)の中で、下半身の「見映え」におけるふくらはぎの重要性を指摘している。
太ももが大きくてもふくらはぎが小さいと、ほとんどの審査員が悪い印象を抱く。一方、ふくらはぎが大きくて太ももがスリムだと、好印象を残してポイントが高くなりやすいという。
幾何学的なコントラストからも、これは真実だろう。脚の下方にあるふくらはぎが大きいと、脚全体ががっしりと、また、美しく彫り込まれているように見えるからだ。
ふくらはぎトレーニングの役割
他の部位を鍛えていれば、ふくらはぎは自動的に鍛えられていることが多い。スクワットをハードにやれば、ふくらはぎのワークになる。
スプリント、丘/階段スプリント、消防士スプリント、クルマ押しなどの爆発的な下半身トレーニング(やり方は前作『プリズナートレーニング 圧倒的な強さを手に入れる究極の自重筋トレ』の第6章を参照のこと)も、ふくらはぎのトレーニングになっている。
ふくらはぎは下半身を対象にしたエクササイズで中心的な役割を果たすので、それらを定期的にやっていれば、ふくらはぎに特化したトレーニングをルーチンに加える必要はない。
だが、ここでも例外がある。まず、ふくらはぎに特化したワークをやると、プッシュ系やジャンプ系といった動作での筋力レベルを上げることができるので、そういったスポーツにかかわっている場合は鍛えた方がいい。
また、過去に足や足首、すねにケガをしたことがあるなら、ふくらはぎを強くすると、強いふくらはぎがそれらの部位を保護してケガの再発が少なくなる。
膝の損傷にも同じことが言える。ACL(膝前十字靭帯)を吹き飛ばしたフットボール選手たちに話を聞くと、定期的にふくらはぎをトレーニングしていれば膝の安定に役立つと話す。
あまり知られていないことだが、ふくらはぎの腱が、足首だけでなく膝を横切っているからだ。そのため、ふくらはぎの腱が強くなると膝や足首がしっかりする。
短パンをはいた時の貧弱な脚が苦だという場合も、ふくらはぎをトレーニングすればいい。キャリステニクスに基づいたふくらはぎトレーニングは、シンプルで、器具を必要としない。また、比較的結果が速く出る利点がある。
ポール・ウェイド(PAUL"COACH" WADE)
元囚人にして、すべての自重筋トレの源流にあるキャリステニクス研究の第一人者。1979年にサン・クエンティン州立刑務所に収監され、その後の23年間のうちの19年間を、アンゴラ(別名ザ・ファーム)やマリオン(ザ・ヘルホール)など、アメリカでもっともタフな監獄の中で暮らす。監獄でサバイブするため、肉体を極限まで強靭にするキャリステニクスを研究・実践、〝コンビクト・コンディショニング・システム〟として体系化。監獄内でエントレナドール(スペイン語で〝コーチ〟を意味する)と呼ばれるまでになる。自重筋トレの世界でバイブルとなった本書はアメリカでベストセラーになっているが、彼の素顔は謎に包まれている。

『プリズナートレーニング 超絶!! グリップ&関節編 永遠の強さを手に入れる最凶の自重筋トレ』
ポール・ウエイド [著]/山田雅久 [訳]
CEメディアハウス[刊]
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