移動式のパーテーションで区切られた学習スペース=八尾市で2026年2月5日午前10時21分、塩路佳子撮影

 不登校の小中学生が全国で35万人を超える中、大阪府八尾市と府立八尾翠翔高(同市神宮寺3)が連携して新たな居場所づくりを進めている。高校内に支援ルームを設けて小中学生を受け入れる全国的にも珍しい取り組みだが、その狙いは何だろうか。【塩路佳子】

 支援ルームは「ほっとS」と名付けられ、4月にオープンする。同校の二つの空き教室を利用し、ソファやテレビなどを置くコミュニティースペースと、パーティションで区切った個別の学習スペースを整備。2月上旬、準備が進む部屋を案内してもらうと、オリーブの造花などが飾られた温かみのある空間が広がっていた。

 開室は、市立学校に在籍する不登校の児童生徒を対象に週3日程度を予定する。市教委の支援員を配置し、利用者は学習や読書、休憩など個々のペースで活動できる。高校の在校生も事情に応じて利用できるのが特徴だ。

 市によると、小中高生の居場所を府立高に設けるのは府内初で、全国的にも同様の例はないとみられる。狙いは、高校進学をイメージしてもらいやすくすること。加えて、翠翔高には教員になるための素養を身につける「教職トライ専門コース」があり、生徒が小中学生と交流を持てるようにする計画もある。

4月に開設する支援ルームを紹介する大阪府立八尾翠翔高の気賀聡校長=八尾市で2026年2月5日午前10時23分、塩路佳子撮影

 気賀聡校長は「小中学生にとって年齢の近い高校生は安心できる存在。学校の先生や親、友達でもない新たな人間関係を築くことで、光が差してくれたらいい」と話す。少子化で学校間の競争が激しくなる中、支援ルームの設置が特色ある学校づくりにつながることにも期待しており、空き教室を有効活用できる側面もあるとした。

さまざまな居場所作り

 八尾市ではこれまでも、オンライン学習やバーチャル空間を活用した居場所づくりなど不登校支援に力を入れてきた。同時に、不登校に対する教職員の意識改革にも取り組んできたという。

 その効果もあってか、24年度の市立中学の不登校生徒は前年度比8人減の327人に。2年連続の減少となり、九州の自治体から支援のあり方について問い合わせを受けることもあった。

 不登校とひとくくりに言っても事情はさまざまで、多様な居場所や支援者がいることが一つのカギになる。「ほっとS」には大学生ボランティアの配置も検討されている。

 浦上弘明教育長は「不登校の児童生徒が、挑戦する力や自立する力を身につける場になればいい。誰ひとり取り残されない教育を実現することが大事」と力を込めた。

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