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<自重筋トレの「生ける伝説」ポール・ウェイドが語る、ホルモンと筋トレの深い関係>
日本でも定着した「自重トレーニング」。その伝道者で元囚人、キャリステニクス研究の第一人者ポール・ウェイドによる『プリズナートレーニング外伝 監獄式ボディビルディング』(CEメディアハウス)の「PART7 テストステロンをチャージしろ」より一部編集・抜粋。
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筋肉を構築する上でもっとも重要なポイントを伝えて本書を締めくくりたい。究極のメッセージはこれだ。
「テストステロンを増やせ。しかし、ステロイドは使うな」
ホルモンと筋成長
トレーニングのやり方を教えること、トレーニングについて書くことにわたしは人生を捧げてきた。
しかし、ボディをビルドするという話になると主役はトレーニングからホルモンに移る。奇妙な話に聞こえるかもしれないが、筋肉をつくりたいなら、トレーニング以上に注目すべきものがある。
「肌を褐色に焼くこと」と「筋肉をつくること」の2つには似たところがある。「日光浴に使う時間」と「ボディビルディングのために使う時間」が似ていて、「太陽光の強さ」と「テストステロンの血中濃度」が似ているのだ。
その気になりさえすれば、あなたは、一日中、太陽の光を浴びていることができる。しかし、たとえば、冬のスコットランドにいたらどれだけ日光浴をしても肌が褐色になることはない。「太陽光の強さ」がそこにないからだ。
ところが、ドバイにいたら、ほんの数分間シャツを脱ぐだけで肌に変化が現れ、褐色に向かっていくだろう。
ボディビルディングも同じだ。その気になりさえすれば、だれもが筋肥大をもたらすワークアウトに身を入れることができる。
しかし、アスリートのテストステロン濃度が低いと、得られる筋肉は限りなくゼロに近づいていく。ひとつ例を挙げよう。
男性の場合、ジムに通って熱心にトレーニングすれば、筋肉が幾らかついてくる。そこで、彼のガールフレンドが「わたしも筋肉をつけたい」と、同じジムに通い、同じように熱心にトレーニングしたとする。
しかし、彼のように筋肉がつくことはない。二人は同じものを食べている。同じようにトレーニングし、同じように眠り、恋する二人は同じように幸せだ。
しかし、筋肉量だけが違ってくる。その違いをつくるのがホルモン濃度だ。女性のテストステロン濃度は、通常、男性の1/10しかない。それがこの違いをつくり出す。
本書の第2章「監獄ボディビルダーになるための十戒」を使って女性がキャリステニクスに取り組むと、強くなるし、引き締まってくる。腱や関節も丈夫になる。
しかし、筋肉ムキムキになることはない。そうなれないのだ。太陽光が弱いとどれだけ日光浴をしても褐色になれないのと同じだ。
オリンピックに出てくる女子体操選手は、身体能力的な意味で、地球上でもっとも秀でた女性の一群といえる。
しかし、筋肉的には、平均的な体型の女性と比べて際立つほどの違いが現れない。もちろん、ボディビルダーのように見えることもない。
筋肉をつくるホルモン──特にテストステロン──が何をしているかわかると、筋肉をつけるだけなら、実は、トレーニングが二次的なものになることがわかる。
体を大きく筋肉質にしたい。そして、その筋肉をそのまま維持したいなら、テストステロンの血中濃度を上げることが最重要課題になる。
どうやって? もちろん、秘教的な方法など必要ない。
テストステロンの血中濃度を上げたいなら、守るべき基本ルールがいくつかある。数十のルールを並べる専門家もいるが、その場合、だいたいがビタミン補給を含んでいる。
その類のルールはサプリメント会社にとってはすばらしいものになるだろうが、実際には、血中ビタミン濃度(たとえば、亜鉛)が致命的に低くなければ、それが理由でホルモン産生が損なわれることはない。
そもそもバランスがとれた食事スタイルを守っている限り、体に余分なビタミンを入れてもテストステロン濃度を上げることがないことがわかっている。
ごつい銃をいじることから、マスターベーションすることまで(まあ、同じようなことかもしれないが)、こうすればテストステロンが増えるという説を監獄にいた先輩アスリートたちからたくさん聞かされてきた。
実際、テストステロン濃度はさまざまな理由で急上昇したり下降したりするのだが、そのほとんどが表面的かつ一時的なものだ。しかし、効果的で長続きするやり方「6つのルール」がある。
ルール1 ハードにトレーニングする ルール2 長く深い眠りを ルール3 太りすぎない ルール4 コレステロールを摂る ルール5 ストレートエッジを歩け ルール6 ステロイドを使うな
各ルールの詳細は本書『プリズナートレーニング外伝 監獄式ボディビルディング』の「PART7 テストステロンをチャージしろ」(140頁~143頁)で。
ポール・ウェイド(PAUL"COACH" WADE)
元囚人にして、すべての自重筋トレの源流にあるキャリステニクス研究の第一人者。1979年にサン・クエンティン州立刑務所に収監され、その後の23年間のうちの19年間を、アンゴラ(別名ザ・ファーム)やマリオン(ザ・ヘルホール)など、アメリカでもっともタフな監獄の中で暮らす。監獄でサバイブするため、肉体を極限まで強靭にするキャリステニクスを研究・実践、〝コンビクト・コンディショニング・システム〟として体系化。監獄内でエントレナドール(スペイン語で 〝コーチ〟を意味する)と呼ばれるまでになる。自重筋トレの世界でバイブルとなった本書はアメリカでベストセラーになっているが、彼の素顔は謎に包まれている。

『プリズナートレーニング外伝 監獄式ボディビルディング』
ポール・ウエイド [著]/山田雅久 [訳]
CEメディアハウス[刊]
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